このページは、2004年の大河ドラマ『新選組!』を語るページです。

第11回 母上行ってきます 3月21日放送 第16回 一筆啓上、つね様 4月25日放送
第12回 西へ! 3月28日放送 第17回 はじまりの死 5月 2日放送
第13回 芹沢鴨、爆発 4月 4日放送 第18回 初出動!壬生浪士 5月 9日放送
第14回 京へ到着 4月11日放送 第19回 通夜の日に 5月16日放送
第15回 行くか、残るか 4月18日放送 第20回 鴨を酔わすな 5月23日放送

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第20回「鴨を酔わすな」 (5月23日放送)

【物語】
大坂沖へ向かう将軍警護の任に就くことになった勇(香取慎吾)たち浪士組は、「この機会に」という芹沢(佐藤浩市)の提案で揃いの羽織を新調することになる。勇の意見で柄は赤穂浪士の討ち入り装束と同じ“だんだら模様”に、色はお梅(鈴木京香)の意見に芹沢が賛成して浅葱色に決まる。勇たちが大坂へ出立したその日。芹沢は、浪士組に帯同している会津藩の広沢富次郎(矢島健一)から、強引な方法で商家から金を借りていることを非難されるが、逆に、都合良く浪士組を使おうとする広沢たちのやり方を糾弾する。一方、歳三(山本耕史)の命を受けて壬生に残留した山南(堺雅人)や総司(藤原竜也)らは、 芹沢一派が不在の間に勢力を拡大を図るために新入隊士の募集を行い、河合耆三郎(大倉孝二)や松原忠司(甲本雅裕)らを加入させる。その頃大坂では、龍馬(江口洋介)が勇の宿を訪ね、「清河八郎(白井晃)が江戸で佐々木只三郎(伊原剛志)によって暗殺された」と話す。その後、勇らは龍馬の誘いで長州の桂(石黒賢)と顔を合わせるが、初対面の芹沢と桂の間でいさかいが起きる。弁の立つ桂が芹沢の“痛い所”を突いたため、両者は一触即発となるが、その場は何とか事なきを得る。しかし、夜になっても芹沢の怒りは収まらず…。
【牛嶋のズバリ感想文】
今週はWOWOWの新選組特集で『狼よ落日を斬れ』、『壬生義士伝』が放送された。既に『壬生義士伝』は映画館で鑑賞済みだが、大河で山南敬助を演じている堺雅人さんの沖田総司や他の隊士などもじっくり見てみようと思う。前とは違った感想になったりして。『狼よ落日を斬れ』はまだ見てないが、どんな映画なのか楽しみだ。それにしても『壬生義士伝』は主役の吉村貫一郎役を、ドラマで渡辺謙さん、映画では中井貴一さんが演じていたが、2人とも見事な演技だった。特にびっくりしたのは2人とも岩手弁が冴えわたった事だ。東北生まれの筆者は、耳で聴いて"ニセ東北弁"をかぎ分ける事が出来るが、2人の東北弁は見事!アクセント、イントネーションはほぼ完璧で、前に東北に住んだ事があるのでは?と思わせるような使い方だった。これだけで2人の俳優の実力が分かるから凄い!その他、スカパーで放送されている『徳川家康』は終盤に入った。家康も70歳を超え、大坂の陣で物語は終わるという感じ。その他、今週1週間の『新選組!』関連の新聞記事からは、山崎蒸役が桂米朝一門の桂吉弥さんが演じるという話題があった。吉弥さんの芝居を見た三谷さんのご指名で決まったらしいが、桂一門の大河登場は初めてだと言う。なんでもそれを聞いた米朝師匠が『俺も出たい』と言ってるとか(笑)。それと、朝日新聞連載の三谷氏のコラムでは、登場人物名に関する裏話が書かれていた。歴史モノは考えなくても済むから助かるとの事だが、古畑任三郎命名の由来なども紹介されていて面白かった。それと、"今、話題の二大バッシングの1人"と自ら書いていたが、三谷氏は褒められれば力を発揮するタイプだと自らを分析していた。ちなみに二大のうちのもう1人は古舘伊知郎さんの事で、傷を舐めあう訳ではないが、古舘さんの『報道ステーション』はほぼ毎日見ているとの事。2人とも大好きな筆者だが、これを読んで『頑張れ!』と改めてエールを送りたいと思った。さぁ、それでは今週の感想文にいきましょう。

@新たな視聴者を獲得せよ!
冒頭の解説は先週のあらすじだけにあらず、反幕開国、反幕攘夷、佐幕攘夷、開国という言葉やそれぞれの思想について説明されていた。幕末ファンなら何を今さらと思うだろうが、こういう解説は嬉しい限り。筆者は常々、『新選組!を見ていますか?』と、社内や外部の人に聞くようにしているが、『途中から見ても大丈夫?』と聞いてくる人が多い。『大丈夫だよ』と、簡単なあらすじを説明して見てもらうようにしているが、こういう基本的な解説を入れてくれると、初心者ファンは大いに嬉しい事だと思う。去年の『武蔵』が巌流島なら、今年の『新選組!』は池田屋騒動がピークになりそうだが、さらに新たな視聴者を取り込めるようNHKさんには頑張ってもらいたい。

A大河ファンの理由
浪士組の次の任務は大坂沖へ向かう将軍警護だった。新選組が活躍した池田屋騒動は誰しも知っているだろうが、このような細かい仕事があった事などはあまり知られていないはず。だから1年かけてじっくり描く大河が筆者は好きなのである。

B八木さんが突っ込み?
芹沢の提案で揃いの羽織を新調する事になった。ようやくあの浅葱色の隊服が登場する事になったが、どんないきさつで作られていくのかが注目だった。なんと!作るにあたって、『ダンダラ模様にしよう』と、いち早く提案したのは勇であった。赤穂浪士の討ち入り装束と同じにしたいとの事だが、勇らの時代でも赤穂浪士は支持を得ていたと思うと、改めて凄い人たちだったんだなぁ〜と思った。そして、浅葱色はお梅が提案した設定になっていた。大事な場面に口を挟むなんて凄い女と思ったが、紅一点の一言で決まったりする事もあるのでここは納得。史実がどうなのかは分からないが、芹沢が注文したのは間違いないにしても、ダンダラ模様には勇も歳三も難色を示したという話もある。又三郎が『京の人間は田舎者の色だと言うだろう』と言っていたが、先週紹介した八木家当主・八木喜久男さんはこのシーンを見て『違う。元々、浅葱色は壬生の色なんだよ』と突っ込みを入れた事だろう。

Cおおっ、佐々木さんだ
芹沢の悪行ぶりは奉行所にも伝わっていた。もう既に会津藩にも伝わっていて、芹沢の立場がどんどん悪くなっているが、思わず『芹沢よ、今ならまだ間に合う!』と言いたくなってしまったのは筆者だけではないだろう。それにしても、アニメソングを数多く歌った佐々木功(ささきいさお)さんが出ていたのにはびっくり。これも三谷氏のリクエストか?それは今後佐々木さんがどうからんでくるかで分かるだろうが、今年の大河は『この個性的な人は誰だろう?』と思わせる出演者ばかりで、キャスティングの良さが目をひくのは素晴らしい。

D勘定方は専門職?
芹沢に加え、お梅にも発言力があって苛立ちを隠せない歳三。今は明らかに芹沢のペースで進んでいて、今後の近藤派の立場を危惧するが、一方の勇は『芹沢さんの下で良い』という始末。この現状をなんとかしなければと思案する歳三と山南であったが、近藤派に勘定方がいない問題点が明らかになった。確かに現代でも経理という仕事は簡単に出来るものではない。経理で入社したという人もいるし、経理で引き抜かれる人もいる位で、勘定方はまさしく専門職と言える。

E総司を見守ろう
確かにお梅の発言にはむかつく。『ふんだくってやったらいいんや』『次はどの辺りの店に押し込むの?』など、今回も嫌な女の見本といった姿が描かれた。今、その魔の手は総司にまで及んでいるが、相変わらずお梅の術中にハマっている姿に、多くの女性ファンが苛立っている事だろう。『おしるこ食べに付き合って』と腕を組み、『江戸に好きな人いる?』『もしかして女を知らないのでは?今度教えてあげる』と、どんどんエスカレートしているのが事実。『惑わされた男いっぱい知ってます』と甘味屋のまさも警告するが、総司は冷静な判断が出来ない様子。総司も分かっているけど、やめられないという感じ。筆者の自論だが、男は誰もが『なんでこんな人と?』と他人から嫌われる女性を1度は好きになるもの。またこういう経験をしないと良い男になれないと思っている。今後大きな問題が発生するらしいが、ここは総司を見守りたいものだ。

F羽織が欲しい
今週は主に文久3年(1863年)4月21日の大坂での出来事を描いた。羽織を着て颯爽と歩を進める浪士組を勇ましかった。いや、まだ血の匂いが全くしないさわやかな姿といった方がふさわしいかもしれない。それにしても、当時京ではこの羽織姿の集団を見てどう思った事だろう。人殺し集団などと表現される新選組だが、やがてはこのさわやかな羽織にも汗や血がにじむ事になる。それが勲章と言うつもりはないが、なんか今週は羽織の真新しさがインパクト強すぎて、史実は変えられないのに、浪士組の行く末を案じてしまった。でも筆者は把握していないが、この羽織は京都で売っているのだろうか?欲しくなった。いくらするのだろうか?

G新隊士登場
勇と芹沢らが大阪に行っている間、壬生村の八木家では新しい隊士の募集が行われていた。芹沢が京都を離れている隙に新たな隊士を入れて、近藤派を増やそうという歳三の作戦だった。歳三は『雇う金は俺が何とかする』と言うほど気合の入れよう。山南も新たな隊士を前川邸に住ませると策を練った。この時点では良い連携が取れている歳三と山南だが、隊士募集には早速2人の男がやって来た。まずは河合耆三郎。剣の腕はないが、商家の出で数字に明るいという理由で採用に至った。ご存知!のちに勘定方となるが、使途不明金が明らかになり、最後は悲劇を迎えてしまう男だ。三船敏郎主演の映画『新選組』では、切腹出来ずに斬られてしまうというシーンがあったが、可哀想で見てられなかった。そしてもう1人は松原忠司。のちの四番組長だが、斎藤を素手で負かしてしまうほどの腕前で、即入隊が決まった。この男に関して筆者は全く把握していないが、なんとこの2人は同郷であった。河合の入隊が決まった際の喜ぶ2人の姿が印象的だったが、この2人もこの時点では新選組の行く末をまだ知らない。話は戻るが、掲示板でも話題になっていた"斎藤が簡単に負けてしまった点"を指摘しておきたい。筆者としては完全なるガチンコではなかったと見る。素手の男に対して本気で斎藤が竹刀を振るとは思えない。斎藤は呆気に取られていたが、決して本気で立ち合った訳ではないと筆者は見る。

H芹沢のカッコ良さ
大阪に着いてすぐ、芹沢と会津藩公用方の広沢富次郎がもめてしまった。『会津がろくに金を出さないからじゃないか?』と自分自身の行動を正当化する芹沢だが、会津藩に向かって堂々と喰ってかかる度胸は見上げたものである。だからと言って金を巻き上げていいという訳ではないが、正面切ってここまで言える男は、別の意味でカッコ良く映った。

Iさすが三谷氏
龍馬が大坂の浪士組の宿を訪れた。またもや信じられない設定だが、龍馬とのからみについてはもう何も言わないでおこう。まずは龍馬から清河八郎が13日に殺されたと知らされた。当初から清河暗殺シーンをちゃんと描いて欲しいと言っていたが、"数日前の出来事"としてしっかり描いていたのは嬉しく思った。さすが三谷氏。偉そうに言うが、三谷氏は筆者の期待を裏切らなかった。描いたのは当然といえば当然なのかもしれないが、筆者的にはかなりのポイントアップだ。

Jあえて作ったシーン?
桂と龍馬、勇はいいとして、そこに芹沢も同席していたのにはさすがに違和感があった。でも、芹沢と桂の迫力あるからみが見られて良かったと思う。筆者が思うに、芹沢の人間性をクローズアップするためにあえて作ったシーンなのではないだろうか?芹沢についてはこれまで単なる悪者として描かれてきたものが多い。でも今回のこのシーンを入れる事によって芹沢をかなり理解出来たと思う。筆者も『桂!そこまで言うか!』と思わず心の刀を抜きたくなったほどだ。

K芹沢にハマったかも
『浪士組になくてはならない人』と言った勇。このシーンを見て筆者は拍手をしたくなった。確かに芹沢の問題は山積しつつある。龍馬の指摘通り、勇の足をひっぱる男なのかもしれない。でも、新見が指摘した『自分の弱点をつかれると弱気になる。あの人が大きくなれない理由だ』というのを聞いて、これほど人間っぽい人はいないと思った。人は誰しも完璧ではないのが当たり前。それでも素晴らしい人はいるが、やろうと思っても出来ない人の方がもっと大勢いるのだ。今回の物語を見て、筆者はますます芹沢が好きになった。

Lつねは今…
会津藩の広沢を迎えての宴はとても華やかだった。ここで深雪太夫が登場するが、勇は太夫の舞を惚れ惚れした目で見ていた。太夫は勇に寄り添い、『お会いできて嬉しいです。近藤先生』と耳元で囁いたが、勇と太夫の関係もますます厚みを帯びてきた。でも、この関係が進めば進むほど、江戸で待つつねの顔が思い浮かぶが…。

M心の底から…
『浪士組になくてはならない人』と思っている勇だが、そんな勇の気持ちを芹沢は全く分かってなかった。勇の顔に酒を浴びせ、『言いたい事があるなら言ってみろ!てめえの目がそう言ってるんだよ』と殴ろうとする始末。勇は黙っていたが、どんな思いで芹沢を見つめていた事だろう。『芹沢さん、分かって下さい』なのか?『いつか分かってくれる』なのか?筆者には分からないが、それでも”芹沢こそ筆頭局長にふさわしい”と思っていたのは事実だと思う。退席した芹沢を後に『まだいいじゃありませんか…』と広沢を引き止め、自らが多摩に伝わる踊りを披露したのも、今回の揉め事は見なかった事にしましょうと、気を悪くした広沢の気持ちをリセットさせようとしたのではないだろうか?歳三は踊りに合わせて歌を歌っていたが、とても上手かった!さすが元歌手。実は山本耕史さん、過去にCDリリース経験があるのである。筆者はレコード会社からの誘いで一度食事する機会を得たが、直前になってキャンセルになった経緯がある。今になって思えば惜しい事をした。でもCDをリリースして全国をキャンペーンでまわっていた時期もあったのだ。

N近藤勇の器はやはり大きい
会津公用方の広沢にも笑顔が戻った後、勇は芹沢を追いかけた。1人佇む芹沢は、『俺は昔からつるむのが苦手だった。結局喧嘩になる。誰も信じない。誰にも信じてもらえない』と勇に胸の内を明かしたのだった。ここで筆者は、ますます人間っぽい!俺らでも良くある事だ!とさらに芹沢に対する思いを強くしたのであった。勇も『私は信じています。筆頭局長は芹沢さんしかいないと思います』と改めて芹沢に告げていたが、それを否定するかのように『バカで気が短くて、ぶざまで情けねぇ。とんでもないクズ野郎。一方で近藤さんは、真っ直ぐで人を疑わず、真っ正直だ。そういうお前さんを見ているとムシズが走るんだ。俺の前から消えてくれないか?』と言う芹沢。せっかく勇がここまで言ったのにそれはないだろう!と思ったが、芹沢にはここまで言うので精一杯だったのではないだろうか?さらに勇は『芹沢さん、私は好きですよ、この羽織…』と言っていたが、これは人が良いだけの勇にあらず!本来持っている芹沢の良さは、欠点をも消すほどのモノであると勇は思っているのではないだろうか?幼い、人が良すぎると再三指摘した筆者だが、20話にして『この男は、器がデカイ!』と感じさせた。

【来週の展望】
芹沢がまたしても事件を起こすらしい。『芹沢さん、もうよしてくれ』と言いたくなるが、勇1人ではもうどうにもならない所まで発展してしまうのが残念でならない。後は芹沢の生き様を見て行く事にしよう。そして総司にも事件が発生するらしい。いずれにしても放送が終わる度に『来週が早く見たい』と思う筆者。完全に三谷氏の術中にハマっているようだ。頑張れ!三谷さん!

第19回「通夜の日に」 (5月16日放送)

【物語】
勇(香取慎吾)らが世話になっている八木家では、姑の久(正司歌江)がひん死の床に就いていた。源之丞(伊東四朗)をはじめ家族らが見守る中、臨終を前に左之助(山本太郎)が呼ばれ、久は心を許した左之助に見守られながら安らかに息を引き取る。その翌朝、文久3年(1863年)4月8日。勇(香取慎吾)の申し出により、久の葬儀一切を浪士組で取り仕切ることになった。歳三(山本耕史)と山南(堺雅人)の差配でてきぱきと段取りが決められていく。総司(藤原竜也)は、芹沢(佐藤浩市)にも葬儀の手伝いを促すが、逆にお梅(鈴木京香)の見ている前で子供扱いされる。通夜の準備が進む中、永倉(山口智充)は、勇に島田魁(照英)という男を引き会わせる。浪士組への入隊を志願する島田を、勇は快く仲間に迎え入れる。早速、通夜の手伝いを頼まれた島田は、僧侶を迎えに出向くが、京の街は地理不案内で四苦八苦する。  そんな中、“立て札”の一件で因縁のある長州藩士・久坂玄瑞(池内博之)が仲間を引き連れて弔問に訪れる。八木家とは何の関わりもない久坂が姿を見せたことをいぶかる勇たち。「なぜ自分たちの邪魔をするのか」と問う久坂に、「上様をないがしろにすることは許せない」と言葉を返す勇。両者の緊張は高まり、事態は一触即発の様相を見せる…。
【牛嶋のズバリ感想文】
WOWOWで放送された栗塚旭さん主演の映画『燃えよ剣』(1966年)を見た。実は恥ずかしながら筆者は栗塚作品を見るのはこれがはじめてだった。『それで時代劇ファンと言えるのか?』と突込みが入りそうだが、大河に合わせて放送してくれたWOWOWには感謝したい。いやぁ、それにしても栗塚さんは噂どおりの俳優だった。とにかく存在感に圧倒されたという感じ。調べてみたのだが、この映画の1年前に『新選組血風録』、4年後に今度はテレビで『燃えよ剣』、それから3年後にはこれまたテレビ『新選組』、そしてNHKの『いのち燃ゆ』と、計5作品で土方歳三を演じていたのは凄い事。この時代においては土方歳三=栗塚旭という図式が成り立っていたと思われる。こういう現象は残念ながら現代にはない。ひとつの役をいろんな俳優が演じるのは嬉しい事だが、反面、この人=この役柄という図式が成り立っていないのも事実。よって今後新選組を描く作品があれば、是非、近藤勇役に香取くん、土方歳三役に山本耕治くんなどが再登場する事を期待したい。三谷氏は、『大河が終われば、近藤勇は香取くん以外には考えられなくなる』と公言していたが、そうなれば本当に良いと思う。
それと、この1週間に新選組に関する記事が新聞に掲載されていたので紹介しよう。まずは産経新聞の八木家当主・八木喜久男さんのインタビューだが、新選組の隊服に使われている浅葱色は、元々壬生の色との事。なんでも壬生は良質の水が出た事から付いた地名で、ライトブルーの浅葱色が壬生の色になったという。それと、芹沢鴨はひどい乱暴者のようにいつも描かれているが、実際は立派な人だったと伝えられているという。剣も強く、近藤一派は足元にも及ばなかったらしい。ただ、かなりの酒乱だったとの事だ。そして最後に、大河ドラマについて厳しい一言があった。『八木秀二郎は嫡男です。源之丞も養子ではありません。近藤勇と坂本龍馬が出会った事もないはずです。もっと正確に歴史を描いて欲しい』との事。これを読んだ筆者は『あくまでもドラマなんだけどなぁ〜』と八木さんに言いたくなったが、八木家当主としての気持ちも分からないでもない。それと、朝日新聞のテレビ紹介欄に"TVこのセリフ"というコーナーがあるが、佐藤浩市さん演じる芹沢鴨の『男と女は賽(さい)の目だ。どういう目が出るか、誰にも分からない』というセリフが紹介されていた。いずれにしてもいろんなメディアで紹介されるのは嬉しい事。また載っていたら随時紹介する事にしよう。さぁ、それでは今週の感想文にいきましょう。

@ギャップが良い
八木源之丞の姑・お久が息をひきとった。あんなに元気だったのになぜ?と思うが、これはあくまでもドラマなのでその点は指摘しないでおこう。源之丞は、お久がひん死の床に就いている中で原田左之助を呼ぶという粋な計らいを見せたが、死ぬ間際の人間に向かって『迎えに来たよ』と思わず言い、お久も『左之助…』と気がついたのは圧巻だった(笑)。まさしく左之助のキャラが生かされた演出であり、一方で何もこんな所で・・・と突っ込みも入れたくなったが、お久が息をひきとった後、左之助が号泣するという姿とギャップがあってとても良かったと思う。

Aまたしても歳三にやられた勇
今週は文久3年(1863年)4月1日を描いた。先週からちょうど1週間になるが、この間の浪士組には出動はなかったと思われる。時間的に余裕があったのか?浪士組が葬儀を全て取り仕切りたいと申し出たのは素早い行動だった。しかし、取り仕切る意志は勇と歳三の中ではずいぶん違ったようだ。勇は相変わらず純粋な気持ちで役に立ちたいと思い、歳三は近藤勇を引き立たせようとあえて申し出た格好になっていた。またもや歳三に一本取られた格好の勇だった。

Bお幸に惹かれる理由は?
勇は甘味屋でお幸と再会した。初めて顔を見合わせてゆっくり話をする機会に恵まれたが、『お会いできて良かったです』とお互い自己紹介をするなど、特別な関係になる事を予感させるような演出だった。でも、お互いどんな点に惹かれているのかが不明確だったのは否めない。ましてや真面目な香取勇からは、他の女性にうつつを抜かす事など考えられない。でも一目見て『あっ、この人いいなぁ〜』と思うことは日常でもある事だから全く納得しない訳ではない(笑)。でも、2人が惹かれ会う合う理由が伝わるといいのだが…。でもその辺りは今後描かれるだろう。

C嫌な女度急上昇中
芹沢は身請けしたお梅に膝枕されながら耳掻きをしてもらっていた。羨ましいなぁ〜と思ったのは筆者のスケベ心か?(笑)さて、お梅はお久が亡くなった事に対して『ばちが当たった』と言っていたが、なんと恐ろしい事を言う女だろう。でものちにばちが当たるのはお梅自身になるとは、この時知るよしもなかった。芹沢は、お久逝去にあたって香典として五両包んだ。意外に常識人?と思ったが、実はお梅に託した香典は三両に減っていた。どうやらお梅が二両抜いたと思われる。ここでも嫌な女ぶりが発揮されたが、三両でも香典としては大金であった。山南が『羽振りがいいなぁ〜』と言っていたが、この羽振りの良さが、裏の芹沢の姿だったのだ。でも、芹沢の横暴振りがまだあまり描かれてない分、お梅の嫌な女度が急速に増しているのは事実だ。あと芹沢を”意外に常識人?”と書いたが、よく考えてみると相場が分からない所からやっぱり常識人ではないのかも。

D先が読めた!
お梅によって総司が部屋に引き込まれた。『バカにするな!』と突っぱねたい所だがここが男の弱い所。しかし、中に入るとそこには芹沢がいた。そして総司に『良い腕をしてるが、人を斬った事がない。誰が最初に斬るか楽しみなんだ』と厳しい言葉。総司は『芹沢さんだったりして』と切り返すが。さらに『赤ん坊の目だ。綺麗な目や。こいつの目に出来るだけ汚れたものを見せたいんだ』とお梅を見せつけるように抱く芹沢。『次はお前の番だ』と総司に無理矢理酒を飲ませるが、さすがに総司の顔つきも変わり、部屋を飛び出してしまった。『どうかしてるかしてる』と嘆く総司だが、この演出で先の話が読めたのは誰もが感じた事だろう。のちに起こる芹沢暗殺は、総司が斬りつけたと言われているが、このような因縁を含んだものになるとは…。

E新しい仲間
大阪に行っていた永倉が男を1人連れて戻ってきた。島田魁という男であったが、壬生浪士組に入りたいと勇に紹介する。部屋に入るなりいきなり頭を入り口にぶつけるなど長身ぶりがうかがえたが、まさしく浪人という風貌だった。ここで面白いエピソードが披露されていた。『島田!』と呼んでも他人のフリで、怪しいやつ?と思ったが、実は名前をよく変えるとの事。丹波屋。川島。永縄…なんと生まれた時は近藤だったという。頼まれれば断れないという性格も永倉によって披露された。とにかく新しい仲間が加わった瞬間であった。なお島田は五稜郭まで歳三を支える事になるのである。

F芹沢暗殺カウントダウン開始
お久の通夜が始まった。たくさんの弔問客が訪れたが、なんと斎藤の仲間である小六もちゃっかり参列していた。会津公用方が参列したのを見て『挨拶して来い』と勇に指示を出す歳三だが、ここで『いやな噂を耳にした』と打ち明けられる。てっきり斎藤の人斬りの話かと思ったら、芹沢の横暴振りが早くも会津に伝わっているとの事だった。『噂では?』と勇は否定するが、『もし本当だとしたら由々しき問題だ』と厳しい一言。まだ芹沢暗殺まで5ケ月あるが、カウントダウンが既に始っていたのであった。

G斎藤のサイドストーリーは?
通夜に来た小六に、斎藤はまたもや仕事に誘われる。『今日はだめだ』と断るが、『お前なしで勝てる訳ないだろ』と言われるくらい斎藤は頼られていた。結局は出陣する事になったが、線香番として線香1本が消えるまでに仕事を終えるという早業だった。戻った時に既に新しい線香が供えられていたが、驚く斎藤に対して勇は不審に思ってなかったようだ。衣服に血が付かぬよう素手で戦った斎藤だが、血の匂いくらいはすると思うのだが…。まぁ、その辺りは指摘しないでおこう。でも、仕事依頼が相変わらず続く事から、今後、斎藤に関する出来事も描かれる事だろう。

H見事、芹沢!しかし…
通夜には長州の久坂も顔を出した。八木家と縁があるとは思えないし、通夜に不似合いな格好から、挑発しに来た事は誰の目に見ても明らかだった。場所が場所なのでお互い争いごとをするつもりはないとしても、普通に終わる訳がない。山南は頭を下げながらもじっと久坂の目を見ていたし、歳三は『お食事を用意しています。故人との思い出話に花を咲かせて下さい』と、嫌味とも言えるような事を久坂に告げた。『いえ、ここで失礼します』とすぐに立ち去る久坂に『ありがとうございました』とお礼を述べる勇。この言葉は心から言っていたのだろうか?すると久坂が『近藤さん…でしたよね?なぜ我らの邪魔をする?』とここで始めて攻撃的な言葉をはいた。(勇)『あなた方がご厚誼の邪魔をしている』(久坂)『幕府がこの国を任せられると思っているのか?』とやりとりが始まったが、『関ヶ原から250年経った今まで恩に感じた事は何ひとつない』と力説した久坂。歴史的な部分を含めて幕府を見ているとは思いもしなかったが、総司が思わず刀を抜こうとしてしまったほど、頭にくる久坂の態度だった。しかし、そこに久坂を黙らせる男が現れた。それはなんと芹沢だった。『てめえらと一緒にするな。水戸の尊皇はそんじゃそこらのとは年季が違う。おまえらは偽者だろ。世の中を好きに動かしたいから天子さまに意見を押し付けているんだろ。そんな野郎と俺と一緒にするな。俺が京にいる間はてめえらの好きにはさせない。それを忘れるんじゃね〜。弔問に来るときは羽織くらい着て来い!それが日本人の礼儀だ!』この言葉は効いた。久坂は『いずれまたお会いしましょう』とは言ったものの、ここは去るしかなかった。とにかくこの芹沢はカッコよかった。こんな人が局長でいる事を、勇は大いに頼もしいと思った事だろう。しかし…。

Iバレる演出の方がいいのになぁ
ついにひでが女であるという事が明らかになった。筆者はバレる演出だと思っていたが、当主の源之丞から打ち明けられたとはびっくり。バレるシチュエーションの方が絶対いいと思うのだが…。勇、歳三、総司は驚きを隠せなかったが、歳三が『どうして気がつかなかったのか?』と悔しがり、『女好きとして一生の不覚か』と勇が笑っていたのは面白かった。でも、八木家の人たちが誤解していたと潔く詫びてくれたのは嬉しかった。おっと、侘びを入れてくれた…と表現するとは、筆者もすっかり浪士組の一員になってしまったようだ。

J筆者は芹沢を擁護する
勇は『長州を追い払ってくれてありがとう』と芹沢に感謝の意を表した。同時に『あなたのこの国を思う気持ちは本物です』と述べたが、その言葉はあっという間に覆された。芹沢が、『俺はあんたが思っているような男じゃない。国の事を一度も考えた時はない。近藤さん、思うようにやってみなよ。俺は後から付いていく』と切り返してきたのである。せっかく良いカタチでまとまってきたのに何を言うかぁ〜と思ったが、同時に冒頭で紹介した八木喜久男さんの『芹沢さんは立派な人だった』という言葉を思い出した。芹沢は根は良い人だったのではないだろうか?ただし人との関わり方が下手で、多くの人に誤解を与えてしまったのではなかったのか?確かに悪行ぶりもあった訳だが、話せば分かる人だったのではないか?それが近藤派、芹沢派と対立していたのも加わって、あのような悲劇を迎えてしまったのではないか?と筆者は見ている。確かににくたらしい面もいろいろあるが、今年の大河は芹沢の真実が描かれている気がしてならない。とにかく『新選組!』を応援している視聴者は全て浪士組の一員になっている。歴史を変えられるのなら、みんな芹沢をなんとか更正させたいと思っているはず。それだけに、良い意味でイライラが募る。

【来週の展望】
来週、ようやく浅葱色のダンダラ模様の隊服が登場するとの事。あの隊服が京の街にどう映えるかとても楽しみだが、HP内のあらすじを読む限り、浅葱色はお梅の提案だという。ん?と思ったが、そこがどう描かれるかが注目だ。そして、龍馬の口から、清河が佐々木に殺された事を聞かされる…とあるが、やはり暗殺シーンは描かれないのかと思うと、ちょっとがっかりかもしれない。それから芹沢と桂がもめるらしい。ますますもって芹沢が殺されるのを、筆者は惜しむかもしれない。そして新隊士の登場。楽しみだ。

第18回「初出動!壬生浪士」 (5月 9日放送)

【物語】
勇(香取慎吾)を訪ねて、坂本龍馬(江口洋介)が壬生の八木邸にやって来る。日本の将来のためには海軍が不可欠だ、と力説する龍馬。そうした龍馬の日本の将来を見据えた行動とは対照的に、浪士組では試衛館の面々と芹沢(佐藤浩市)らとの間で、誰を局長にし誰を副長にするかなど、内輪の主導権争いが続いていた。そんな争いとは無縁な総司(藤原竜也)は前川邸に居候している菱屋の愛人・お梅(鈴木京香)に憧れを抱く。総司に想いを寄せる八木家の娘・ひで(吹石一恵)は、自分が女であることを隠していることもあり、ひとり気を揉む。八木源之丞(伊東四朗)ら壬生の名主達は、村の風紀を乱す者としてお梅を排除しようとするが、意外な成り行きで、お梅は八木邸に移ることになる。また、平助(中村勘太郎)は、浪士組の結束を固めるために芹沢一派との親睦を深める手立てを考えるようにと命じられ、相撲で交流を図ろうと考える。その頃、京の町では、長州の久坂玄瑞(池内博之)らが幕府を揶揄(やゆ)する“数え歌”を記した立て札を掲げて庶民の人気を博していた。その内容に激怒した京都守護職の松平容保(筒井道隆)は、浪士組に立て札の撤去を命じる。山南(堺雅人)は、立て札の撤去は今後長州との敵対を意味する、と説く。しかし、勇はすでに覚悟を決めており、断固取り締まるべしという芹沢らとともに出動する…。
【牛嶋のズバリ感想文】
この1週間も時代劇をたくさん見た。スカパーで放送されている『徳川家康』は36話まで進み太閤秀吉も死んだ。まもなく関ヶ原でまさに終盤といった所。そして『家康』が終わったら『武田信玄』が始まる嬉しいニュースが入ってきた。筆者も見ていたが、中井信玄の名演技が光った作品でこれも楽しみだ。そして満を持して『竜馬の妻とその夫と愛人』も見た。正直言って訳が分からないといった感じでこれ以上のコメントはない。ただ、江口洋介さん、鈴木京香さんが出ていたのが『新選組!』に通じている事を思わせた。そしてこれは時代劇ではないが、新見錦役の相島和之さんが天海祐希さん主演のテレビドラマ『離婚弁護士』に出演していた。役は悪徳不動産業者で、新見錦役とリンクしてしまって失礼ながら笑ってしまった。でもあの冷酷な目をした存在感は凄かった。一方で相島さんのプライベートトークも聞いてみたいと思ったが…。そんないろんな1週間だったが、それでは、今週の感想文に行いましょう。

@夢を見させてもらっている?
今週は、坂本龍馬が壬生浪士組の屯所である八木邸を訪れる所からスタートした。近藤勇と坂本龍馬の対面はいつ見ても新鮮だ。ましてや龍馬の『桂さんと一緒に飲めるといいなぁ〜』と夢のような話につい嬉しくなってしまった。もう過剰な演出はいいと以前書いた筆者だが、夢を見させてくれるならそれでいいかぁ〜という気になってきた。ここで西郷が登場したらもっと凄いが…。なお細かい事だが、表の看板は"精忠浪士組屯所"となっていた。勇らの壬生浪士組は、芹沢らの勢いに敗れたといった感じ。

A女で自信をつけていた歳三?
『京に来て以来、どこにも行っていない』という勇に対して歳三が『1回だけ遊んだ』と驚くべき発言が出た。遊びの内容までは具体的に出なかったが、早速遊びに行ったとはさすが歳三である。歳三は副長としての活躍もさることながら、女遊びも盛んだったと聞いている。しかも大変女性にもてたとの事で、様々な発言の裏には"女性にもてた自信"があったのかもしれない。

B近藤勇と龍馬の関係
龍馬は勝海舟指揮の元、各所を周って海軍の必要性を訴えているとの事。そんな龍馬に『日本はこれからどうなっているんですか?』と相変わらず聞く勇。『 そんな事は知らん』と楽天的に答える龍馬だが、その裏にはどんな気持ちが隠されていたのだろうか?また、会津藩預かりとなった勇らに対して何か思う事がなかったのか気になるが…。龍馬はその足で桂にも会ったが、その際、『あいつ(近藤勇)も面白い男や』と言っていた。でも筆者からすると何を持って面白いと言うのかがイマイチ理解出来なかった。『今の京で何が出来るのだ』という桂の言葉は心に残ったが…。正直言って、近藤勇と坂本龍馬…2人の関係がはっきりしていない気がした。単なる知り合いであった…という事だけなら分かるが、それでいいのだろうか?という疑問もある。

C久坂は恐ろしい男?
久坂玄端が再登場。幕府を揶揄する数え歌を記し、立て札を掲げて庶民の人気を博しているとの事。既に9番まで書き上げ、劇中でもいくつか紹介されていたが、これがなかなかの出来で、作家でも十分食っていけると思わせるほどだ。『もう少し柔らかい方がいい』と言う桂に対して『あんたのあやふやな所が気に入らない。これからは好きにやらせてもらいますよ。』と対抗する所は学がある自信の表れか?下関で異国船に向けて大砲を打つとの画策があるとは恐ろしい男よ。

Dおつかれさま!鋭三郎
今回は文久3年(1863年)4月1日の出来事が描かれた。先週から7日後という事になるが、病弱の阿比留鋭三郎がついに去っていった。ホント見るからに身体が悪そうで、後ろ姿を見ているだけで、もしかしたら倒れるんじゃないか?と気の毒に思ってしまった。もう阿比留の登場はないと思われるが、短い間でも阿比留鋭三郎という存在をしっかり知る事が出来て嬉しかった。

E芹沢一派の技あり?引き分け?
先週に続いて組長を誰にするかの話し合いが行われた。隊士は全部で15人。そのうち近藤派が9人、芹沢派が又三郎を入れて6人という構図だったので、現代の制度なら当然勇が組長となるだろう。しかし、芹沢が組長にまるのは誰の目にも明らかという状況になっていた。そこで歳三は、勇も組長に据えて2人制にしようと提案したが、芹沢は何の文句もなく了承。しかし、新見も加えて3人にしようという提案が出された。でも、これだけ少ない人数の中で3人が組長というのもヘンな感じがするが、ここは芹沢一派の技ありといった所か。しかし、副長に近藤派から2人という事で引き分けか?でも、役職を決める際の近藤派vs芹沢派のやりとりは面白かった。申し出た際に必ず『書き留めて』と言葉が出たり、副長という役を提案した近藤派に対して芹沢派が、小頭は…間髪入れずに言うなど 勢力争いがとても細かく描かれていた。いいぞ!

F嬉しいなぁ〜
新選組局長…と言っても、なぜ局長なのか?実は筆者はずっと疑問に思っていたが、今回その謎が解明された。山南敬介によると、会津では公用方を公用局と呼ぶ事がある。我らもひとつの局という事で局長。なるほど!よく分かった。こういう細かい部分もちゃんと描いてくれるから嬉しい。

G斎藤のこれから…
斎藤は八木邸でおとなしく過ごしていた。キレると恐いが、ふだんは目立たない…そんな存在だったのか?斎藤から鼻を裂かれた平山は、斎藤に一目置くようになったが、何をしでかすか分からない恐さが現に感じられた。そんな中、斎藤が昔の仲間から仕事に誘われた。俺はやめたと答えるが、それはそっちの都合で、旦那には借りがあるから来いと言われる。借りに弱い?斎藤は出動し、殺し屋?として博打の所を襲う。この話もこのままじゃ終わらないだろう。斎藤のこれからも注目だ。

H表情がいいね〜
前川邸のお梅を見る総司の様子は、明らかに違っていた。どうやらお梅に惚れてしまったらしい。一方、一緒にいたひでの表情はジェラシーでいっぱいだった。その後、芹沢一派から『お前なんか匂うなぁ〜』と難癖をつけられたひでに対して、『本当にいい匂いだなぁ〜』と首の辺りを嗅いだが、これらのシーンにおける総司とひでの表情は絶妙だった。お梅に対しては完全に憧れの目で、笑みを浮かべられてにやけていた。一方、ひでに対してはあくまでも男!と思って、なんの迷いもなく無表情で抱きしめた。とても対照的で、抱きしめられても抵抗出来ないひでの表情も最高!その後、お梅への使いを買って出た総司だが、前川邸にいた芹沢の顔を見て表情が一変。この時の落ち込んだ顔も印象的だったし、お梅にふられたのを知ったひでの喜んだ顔も良かった。表情が豊かになるのは恋愛シーンならではか?

I又三郎の悲劇
源之丞が『これを届けてくれ』と命令するが、又三郎は『俺はもう奉公人じゃない』と拒否した。調子に乗って『いつまで続けるんですか?』とひでに声を掛けるが、『お前、何者じゃ』と源之丞。ホント、その通りだ。八木家の奉公人から浪士組へと転じた又三郎だが、この男にもやがて事件が起こる。諸説あるが、どのようにソレが描かれるか注目だ。でも、立場が変わって態度が変わる奴は最低である。まさに天罰じゃぁ〜。

Jつねを思った筆者
今回も甘味屋のシーンが出た。すっかり行きつけの店となったが、安らぐ場所であると同時に、落ち着いて思案出来る場所といった所か。歳三は芹沢らに乗っ取られないようにと心配。勇は芹沢らと団結したい旨を話した。そして長州が作った数え歌の話を聞いて『(立て札を)引っこ抜きゃいいんじゃないか?』という歳三の言葉を、『大変な事になる』と制した山南。それぞれ個性の違った3人が垣間見られた。そんな中、『この間の娘は?』と甘味屋のまさに聞いた勇。『かっちゃんはああいうのが好みなんだ?』と歳三。この時ばかりは多摩での2人に戻っていたが、『そういうんじゃない』と歳三を睨み付ける勇の表情が良かった。一方、つねの事を考えてしまったのは筆者だけではあるまい。

K平助と野口
『芹沢らと親睦を深めるために思案して欲しい』と頼まれた平助は、芹沢派の野口健司から相撲がいいのでは?と提案された。ここでの平助と野口のやりとりは新鮮な感じでとても良かった。友達になりかけ?といった感じで、2人のスムーズとは言えない会話がたまらなかた。どうしても壬生浪士組の内部を、近藤派vs芹沢派という図式で見てしまうが、この野口はなりゆきで壬生浪士組に入った事もあって中立派といった感じ。でもこの野口にも今後事件が起きるのである。それと平助は、野口のやりとりの中で『私にはその人のためになら…という人が2人いる。近藤さんはそのうちの1人』と発言していたが、そのもう1人は言わずと知れた伊東甲子太郎の事である。野口が芹沢なら、一方の平助も伊東によって悲劇が起こるとはなんという因縁だろう。

Lお梅のような女
ここを出て行って欲しいとお梅に村の判断が下された。『こんな村こっちから願い下げや』と出て行こうとするお梅だが、そこへ『村を出る必要はない。俺が面倒を見る』と芹沢が現れた。その後、お梅が総司を呼び寄せ、『今日からこっちに引っ越してくる事になった』と総司の手を触るが、なんという恐ろしい女であろうか?でも、こういう女に騙されるのが男の弱い所である。筆者は?う〜ん、なくはないかなぁ〜?(笑)

M大変な事になる…
松平容保は、数え歌の立て札がある事に気づき、引っこ抜けと指示を出す。しかし、『放っておかれませ。会津藩の危機。何もしないのが一番』という反対意見が家臣から出された。この辺りから、何も好き好んで京都守護職を引き受けた会津藩ではないという所が垣間見られた。そこへ家臣の秋月悌次郎が『壬生浪士組にやらせては?』と提案。そして『よし、頼もう』という事になった。画して壬生浪士組の初仕事が決まったのである。見ている側としては簡単な仕事にしか見えないが、これが壬生浪士の運命を決めた最初の出来事だったのだ。『大変な事になる』という山南の言葉が身に沁みた。

N仲良くなれそうじゃん?
近藤派と芹沢派の親睦を深める相撲大会が行われる事になった。大相撲夏場所が放送日に始まったのも何かの縁か?勇と芹沢不在で行っていいのか?と思ったが、残っている人だけで決行された。永倉は大阪に行っていて不在だったが、斎藤も交えての微笑ましい大会となった。感じたのは、近藤派と芹沢派の人間らしい所が見えて面白かったという事。特に敗れた際に歯が折れた…と平山が言っていたが、心の底から悪いやつではないという様子が窺えた。このまま仲良くやっていれば良かったのに…とはみんなが思った事だろう。

O誠に残念
初仕事が決まったのを受けて勇は『日本を異敵から守るのは我々と同じ。それなりの覚悟を決めなければ。上様をかろんじるものはすべて敵とみなす』と強い決意を胸に出陣。そして『我らは会津藩お預かり。壬生浪士組である』と立て札に群がる人の面前で宣言。『この立て札を引き抜いたらもう引き返せない。あとは行き着く所まで行くだけだ。なぁ、近藤さんよ』と芹沢。勇の『やれ』の声で左之助が引き抜く。真っ二つに割り、踏みつける…。かくして壬生浪士組の初仕事が行われたのだった。この行為が壬生浪士組の運命を決定づけた訳だが、芹沢と勇の絶妙なコラボレーションが図られたとも言える。なぜこの2人の運命が分かれてしまったのか?若い衆も相撲を通じて親睦が深められた。このまま良い関係で事が進んだらと思うと誠に持って残念だ。

P勇の目は?
立て札を引き抜く際にお幸と再会した勇。最後に一点を見つめていたが、その眼光はお幸に向いていたのか?それとも?

【来週の展望】
来週はあれだけ元気だったお久が息を引き取るとの事。左之助と久のやりとりに注目だ。そして葬儀には長州藩の面々が…。立て札を引き抜く事で宣戦布告した勇と長州藩とでどんな緊張が生まれるのかもしっかり見ておきたい。そして照英さん演じる島田魁も登場。そうそう、ひでの告白も見られるのか?今後も目が離せないぞ。

第17回「はじまりの死」 (5月 2日放送)

【物語】
文久3年(1863年)3月25日、京。 “会津藩お預かり”となった勇(香取慎吾)や芹沢(佐藤浩市)ら浪士組は、会津藩主・松平容保(筒井道隆)に謁見し、励ましの言葉をかけられる。また、 会津藩側から「勇たちが身を寄せている壬生の地に伝わる“壬生狂言”を一緒に鑑賞して親睦を深めたい」との提案があり、八木家の当主・源之丞(伊東四朗)が狂言を披露することになる。順風満帆の船出かと思われた浪士組だったが、早くも問題を抱えることになる。浪士組の正式名をどうするのかや誰を組長にするかで、試衛館の面々と芹沢一派、根岸友山(奥村公延)一派の主導権争いが持ち上がったのだ。そんな中、歳三(山本耕史)は、勇を頭に立たせようと奮起を促すが、勇の人の良さもあり前途は多難。その夜、狂言鑑賞の最中に、浪士組の一員・殿内義雄(生瀬勝久)が、江戸に帰還した佐々木只三郎(伊原剛志)の命を受けた見張り役であることが発覚する。「殿内を斬る」と息巻く芹沢を制した勇は、殿内に会って事情を尋ねる。苦しい胸中を吐露した殿内は、勇の説得に折れ、京に残って浪士組の一員として忠勤に励むことを約束する。ところが、旅装でいずこかへ向かおうとする殿内を芹沢が見咎めたことから、事態は思いも寄らぬ方向へと向かう…。
【牛嶋のズバリ感想文】
朝日新聞に連載されている三谷氏の連載コラム"ありふれた生活"には、度々新選組ネタが書かれている。先日掲載分には佐久間象山役の石坂浩ニさんについて書かれていた。なんでも、”登場人物に緊迫感がない”という批判を受けて石坂さんは、"それは違う。あの時代は結構のんびりしてたと思うんだよ。例えば戦時中の日本は映画やドラマだと深刻に描かれる事が多い。もちろんそれも一面であるが、実際はもっとのんきなものだったんだよね。僕の親は空襲の時も平気で風呂に入って、近所に爆弾が落ちるのを風呂場から見ていたんだ"と語ったとの事。その発言からして、石坂さんは三谷氏のよき理解者となっているようだが、それと同時に、幕末時にもっとも進んだ考えを持ち、あらゆる事に興味を示した佐久間象山にイメージが重なったとの事。ちなみに三谷曰く、石坂浩ニさんはこれまで"草燃える"の源頼朝のイメージが強く、初めて会った時は歴史上の人物のように思えて仕方がなかったとの事。面白いエピソードだと思った。それでは今回の感想文にいきましょう。

@あれっ?時が戻ってる!
今週は、文久3年(1863年)3月25日を描いた。あれ?先週は確か3月26日だったような…。なんで1日前?と思ったが、江戸に勇の手紙が着いたのが3月26日。要は勇が手紙を書いて出す⇒⇒⇒(数日間)⇒⇒⇒25日の出来事⇒⇒⇒26日に江戸に手紙が届く。こう思えば納得する。何しろ今の時代のように1日で着くなんて事はありえないのである。よって、出来事にタイムラグがあって当たり前。なるほど!うまく考えたもんだ!と思ったが、ひょっとしたら三谷氏が日付を間違えていたりして…。

Aおいおい、容保よ!
会津預かりとなった壬生浪士組。冒頭から京都守護職・松平容保が浪士組に対して励ましの言葉をかけていたが、特に芹沢には『頼もしく思うぞ』と特別扱い。これを見て首をかしげてしまった筆者。確か先週の放送では、勇に対して『ますます会いたくなった』と言ったのではなかったのか?年上である芹沢をリーダーだと思ったのか?

B歳三に学べ!
芹沢が注目を集めた事に納得いかない様子の歳三。でも、勇にはリーダーになろうという欲はなかった。しかし、歳三は『人の上に立たないと好きなことは出来ない』と勇をけしかけ、『このまま京に残って名を広める。大名にする』とまで言い出した。なんて野心家なんだろうか。でも、ここまで徹底出来るのは素晴らしい事。歳三の言う事はもっともで、現代の人は歳三に大いに学ぶべきである。

C佐々木よ、お前もか!
佐々木が、浪士組の目付け役として殿内義雄に全てを託して江戸に帰った。しかし、殿内への『芹沢、近藤に好きなようにさせるな』という言葉に筆者は首をかしげた。芹沢はともかく、近藤…と名が出てきたからだ。確かに勇の行動によって佐々木が頭を抱えたのは間違いない。でも勇がいたからこそ京都残留を許したと思うし、勇がいるからこそ芹沢も好き勝手に出来ないだろうと、佐々木は安心して江戸に帰ったと思ったのだが…。筆者の勘違いかぁ〜?

D歳三の作戦は?
歳三が壬生浪士組を集めた。勇を組長に据えようという目的だったが、その前に芹沢から壬生浪士組という名前にケチがついた。"精忠浪士組"に変えようとの事だが、筆者は精忠ではなく"誠忠"では?と思ったが、どうやら違ったようだ。歳三は本来の目的に話を戻す。しかし、根岸友山が引き受けると立候補。しかし、芹沢は誰も望んでないと根岸を制した。新見は、元々芹沢先生と近藤先生から始まった。ここは芹沢先生を…と主張。粕谷は誰が組長になろうと構わないと退席してしまった。でも、歳三の作戦はどんなものだったのだろうか?

E行動が素早い芹沢一派
『頭になれるという約束だったのに、もうわしは降りる』と根岸。『次の手を考える』と殿内はなだめるが、考える間もなく物事は急速に進むものだ。というより、芹沢一派の行動の速い事速い事。門の看板がすでに"精忠浪士組"と掛けかえられていたのである。その後、歳三らは再び壬生浪士組の看板に掛けかえるが、またもや掛けかえるなど徹底した動きは見事。それはそうと組長は芹沢に決まったのか?放送を見る限りではまだ決まってないと思うのだが…。でも芹沢一派はそう勝手に決めている事だろう。

Fいいね〜八木ひで
父親を前に思わず男言葉を使ってしまったひで。『その話し方はやめなはれ』と源之丞は言うが、男にもすっかり慣れた様子。一方で総司、平助の前では"素"になって普通の言葉を使ってしまうなど、すっかりみんなにも溶け込んできたようだ。見る限り、男に化けても女にしか見えないが、そこがミソなのである。まるっきり男にしてしまえば意味がない。どう見ても女なのに、無理して男を演じている所がいいのだ。また誰も疑わない所もいい。それと同時に姑も、死んだ爺様に似てると左之助を特別な目で見始めた。あの時代にウィンクなんてあったのか?と思うが、八木家にもいろいろ動きがあって面白い。

Gやはり目がいい!オダギリさん
勇は市中の見回りに出かけたが、それを見つけた芹沢一派が『芹沢先生に断ったか?』とケチをつけた。『我々には上も下もない』と突っぱねる勇だが、『勝手なことをするなよ』と頬を軽く張られてしまうはめに。そこへ斎藤が飛び出すが、勇は斎藤を制した。この辺りが器のある人間という事を印象づけた。勇のこの行動はカッコ良かった。リーダーの資質は感情的にならず、冷静に判断出来る人の事を言うのかもしれない。でも、斎藤の獲物を追うかのような目が印象的だった。やはりオダギリさんは目がいい。

H新しい芹沢?
総司は芹沢に気後れする事なく接していた。『俺が恐くないのか?』と聞くが、『ちっとも〜』と答える総司。全くもって天真爛漫だ。いや、自分は決して負けないというアピールか?しかし、『お前は何も見ちゃいない。俺は悪いやつだ』と総司を厳しい目で見た、でも、子供に竹とんぼを作ってやるなど、優しい一面も見せた(その後、壊してしまうが…)。芹沢は単なる意地っ張りな男なのか?それとも本当に悪いやつなのか?三谷氏は新しい芹沢像を作る予感がした。

I甘いものが苦手な斎藤
今週も甘味屋が出てきた。左之助はその場にはいなかったが、まさと対面するのはいつの日か?そんな中、面白いエピソードが出てきた。斎藤が甘いものを苦手としている事である。これが史実に基づくものなのかは分からないが、酒を呑んでは人を斬る癖があると伝えられている事から、甘いものが苦手というのは理に適っているのかな?でも勇は注文しない斎藤に対して『遠慮するな』と言っていたが、あれは全員分勇のオゴリなのだろうか?と、つまらない事を思ってしまった筆者であった。

J斎藤は空手づかい?
優香演じるお幸が登場。今後どのようなカタチでからんでいくのかが楽しみ。それはそうと、斎藤、源三郎、勇らの技は見事だった。素手で相手を追い払ったが、合気道を見るようだった。特に斎藤一の技は完全に空手の手刀だった。

K勇に要望
会津藩の希望で、浪士組同席の元、八木源之丞が狂言を披露する事になった。体調が悪い阿比留鋭三郎は寝込んでしまったが、そこで殿内が佐々木の見張り役である事が分かってしまう。勇は『あなたは24人のうちの1人だ』と殿内を説得するが、結局は芹沢に斬られてしまった。のちに勇に宛てた手紙で、志を新たにした事を知るが、『あいつは人殺しだ!』と涙ながらに訴えた。純粋極まりない顔つきだったが、ここで筆者は気がついた。近藤勇像が…としきりに書いてきたが、その理由の根本にあるものは"幼さ"であった。人の良さはいい。でも幼さからは早く卒業してもらいたいと思う。

L斎藤は勇のボディーガード?
斎藤が芹沢一派の隻眼の男を殴り、『二度と近藤さんに無礼な口を聞くな!』と押さえつけた。芹沢さんには恩がある…と言っていたが、斎藤は誠にもって義理堅い男だ。こうして勇をボディーガードのように守っていく事だろう。でも義理があったとしても、理不尽な振る舞いには断固として対抗していく必要があると思うが…。

M現代にも通ずる現象
芹沢は狂言の知識を披露し、会津藩からさらに評価得た。試衛館の面々、特に歳三は対抗出来ない事に苛立つが、会津藩が帰った後に山南や平助が狂言の話をして、『今、話しても遅いんだよ』と言ったのには笑ってしまった。歳三の必死さが表れていたが、今、会津は芹沢の悪行を知らないまま芹沢を信頼している状態である。でもこういう現象は会社組織の中でもある事。社内では誰も評価しないのに、社外から過剰な評価をされている人がいる。それは単なる表向きでしかないが、現代にも通ずる現象に筆者も苛立ってしまった。

Nまだ序章にすぎない
芹沢に対して怒りを露にする勇を『こらえてくれ』と歳三がなだめた。『壬生浪士組のために…』と言う一言が利いたのか、勇は歳三の気持ちを受け止めるが、許さなかったのは粕谷新五郎だった。『仲間内のいさかいを恐れていた』と、脱退を表明。勇は粕谷に約束した事をあっさり破ってしまう事になったが、『力で押さえつけたら、その先に待っているのは地獄のみ』という言葉は利いた。結局根岸も抜けて一気に人数が減ってしまったが、これはまだ序章に過ぎない。これからはもっと悲惨な出来事が起こるのである。

O鬼の副長誕生
『本当にこれでよかったのか?』と勇は悲しんだ。主義に反する事をしたと、自分で自分を責めた事だろう。それを見た歳三は、『二度とこんな思いをあいつにはさせない。俺が全て引き受ける』と力強く宣言した。今後、芹沢暗殺や局中法度を元に多くの隊士に切腹を申し付けていくが、全て歳三が指揮して行われる事になる。まさに鬼の副長誕生の瞬間であった。でも”真っ直ぐな勇”の様子を気遣って、歳三が勇に知られる間もなく裏で手をまわすようになる…この流れは良かった。

【来週の展望】
壬生浪士組が結成されて、今後は近藤勇ら試衛館グループを中心に様々な人間関係が描かれていく。『それはあんまりだ!』と思う事もしばしばあるだろう。面白くなるという気持ちと、このまま何も起こらないで欲しいという気持ちもあるが、史実は変わらない。我々もしっかりとした気持ちで見ていく必要があるのかもしれない。さて来週は、坂本龍馬、桂小五郎が再登場。勇らと袂を分かつ事となる。さぁ、どういう展開になるのか大いに期待しよう!

第16回「一筆啓上、つね様」 (4月25日放送)

【物語】
京都の勇(香取慎吾)から、江戸に残る妻・つね(田畑智子)のもとに一通の手紙が届く。その文面から、勇の養父母、近藤周斎(田中邦衛)とふで(野際陽子)、沖田みつ(沢口靖子)らは、京都での勇たちの奮闘ぶりに一喜一憂する。 その頃、京都では「将軍警護」を理由に京に留まろうとする勇や芹沢(佐藤浩市)らの動きが原因で、清河八郎(白井晃)率いる浪士組は江戸への出立を幕府から止められていた。「浪士組全員の江戸帰還」が前提となっていたからだ。浪士組が身動き取れなくなっている隙に、自分たちで新たな浪士組を結成しようと、歳三(山本耕史)ら試衛館の面々が仲間を増やすための勧誘を始める。偶然再会した斎藤一(=かつての山口一/オダギリ ジョー)も勇に誘われて浪士組に加わる。一方、勇たちが寄宿する八木家では、「壬生浪士組」なる看板を掲げられたうえ、勇らが幕府の預かりではなくなることから生活費の面倒まで見る羽目になる。主の源之丞(伊東四朗)ら一家は降ってわいた災難に困惑する。 そんな八木家の人々の思いはいざ知らず、上洛して二条城に入る将軍家茂の警護をしようと意気揚々の勇たちだったが、遠くから野次馬のように行列を見物することしか出来ず、厳しい現実に直面する。また勇らと行動を共にして京都に残留した芹沢鴨(佐藤浩市)は、八木邸からほど近い前川邸*に暮らすお梅(鈴木京香)の怪しげな存在が気になり始めていた。そんな折、山南(堺雅人)の発案から、勇と芹沢は会津藩主で京都守護職の松平容保(筒井道隆)に面会を求めることになるのだが…。 *前川邸 …後に、八木邸と同様に壬生浪士組の屯所として借り上げられることになる。
【牛嶋のズバリ感想文】
スカパー『時代劇専門チャンネル』で放送されている徳川家康にやっと追いついた。これで毎回家に帰るたびに、放送されたばかりのモノが見られるようになった。嬉しいぃ〜!ちなみに25日現在で第27話まで終了。信長が討たれ、秀吉の時代へと移る様が描かれている。そんな中、スカパー『ホームドラマチャンネル』で『おんな太閤記』を放送しているのをキャッチしたが、もうかなり回数が進んでしまったようだ。残念!つくづく日頃からアンテナを張り巡らせないといけないのだと思った。そうそう、今日何気なくWOWOWを見ていたら、5月に新選組特集が組まれるとの事。『新選組始末記』『燃えよ剣』『御法度』『狼よ落日を斬れ』『暗殺』が相次いで放送される。特に『燃えよ剣』は栗塚旭さんの作品だ!これは楽しみ!みなさんも楽しもう!さぁ、それでは今回の感想文にいきましょう!

@清河の暗殺はちゃんと描かれる?
毎週冒頭で先週のおさらいをするが、@江戸に帰る浪士組は庄内藩預かりの新徴組となる。A清河も暗殺されるという解説があった。ここで嫌な予感が・・・。この時点で解説されたという事は、もしかしたら清河の暗殺は描かれないのでは?そう思ったのは私だけではないだろう。いや、三谷氏はそんな事は決してしないはず。しっかり描かれると信じよう。描いて欲しいのだ。頼むよ三谷さん!

A勇以外にはどう接する?
先週の放送で再登場した斎藤一。勇からいろいろ質問を受けるが、剣術を教えていた。道場主と合わずに飛び出した。また、今は山口ではなく、斎藤を名乗っているという話などが披露された。いろんな姓を名乗った事でも有名だが、やはり斎藤一という名前はしっくりいく。斎藤は人が変わったかのように低姿勢であったが、他の隊士に対してはどんな態度でこれから振舞うのだろう。それはそうと、『俺の事はもういいじゃないですか』と話をはぐらかしたが、その部分は今後の物語につながるのかな?でも、勇に向かって『そっちは・・・』と言ったのが気になった。『近藤さんは・・・』と言って欲しかったが、斎藤は照れ屋なのか?

Bうまい手法だ
今週は1863年3月28日を描いた。先週が2月29日だったので約1ケ月後という事になるが、タイトルは『一筆啓上、つね様』。勇から妻・つね宛に手紙が届けられる事はすぐに分かったが、問題は描き方。単に手紙を読み上げるだけで、つね達の登場が短い時間で終わったらどうしよう?と不安がよぎった。ところがどっこい!全編、届いた手紙に書いてある”この1ケ月の出来事”が映像で再現されるというスタイルだった。これだとタイトルをつけた意味も分かるし、タイトルも生きる。まさにこのやり方はベストで、これまでの1日1話スタイルではなく、この1ケ月の間に起こった事をまとめて描く事が出来る効果的な手法だ。さすが三谷氏。今後もこういう事が増えると思うが、次はどんな手で出るかな?

C手紙しかなかったこの時代
勇の手紙に『たいしたもんじゃねえか』と周斎らは一喜一憂する。現代は電話すれば状況がすぐ分かるが、この時代は手紙を唯一の通信手段として、貴重なものと捉えていた事だろう。どこまで詳しく書いていたのかは分からないが、京都に到着して会津預かりとなるまでが克明に書かれていたと思われる。もちろん、映像で再現された事全てが描かれた訳ではないだろうが、それはそれで良い。とにかくうまい!関心した。

D勇の意志を強調させる効果
勇らが京都に残ると表明した事で、清河八郎率いる浪士組は江戸への出立を幕府から止められてしまった。あくまで浪士組全員の江戸帰還が前提となっていたからで、清河は『余計な事をした』と勇に対して怒りをあらわにした。一方、佐々木は『京にいた所で何も出来ない』と勇を説得するが、勇の意志は固かった。そして勇らは新たな浪士組を結成しようとメンバーを集め始めた。総司は、義兄の林太郎、粕谷新五郎を誘い、池田徳太郎をも誘った。江戸に帰るだけの気力がないと対馬藩士の阿比留鋭三郎や八木家の下男である又三郎も加わる動きなどもしっかり描かれた。思えば、これまでの新選組作品では、ここまで細かい部分を描いたものはなかった。江戸帰還組はもう関係ないとばかりに、どの作品もすぐ次の展開へと進んでしまうのである。時間の関係でカットするのは当然だが、こうした点まで描いてくれるのは嬉しい事。1年描くドラマの利点といえるが、それよりも、勇らの意志の強さが強調される効果を生み出した。

E粕谷も残留。しかし…
江戸に戻ると言った粕谷新五郎だったが、勇と総司の説得に折れた。しかし、それは条件付だった。同志を募る事の恐さを知っている粕谷は、ひとつの目標に向かってもいずれ仲間割れが起こり、無駄な殺し合いが起こる。もうそれを見たくないと言う。『それを約束して頂けますか?』と言う粕谷に対して『誓いましょう』と答える勇だったが、粕谷はやがて脱退する事になる。この経緯があったからこそだと思うが、粕谷が恐れていた事が起こる事になるとは、この時勇は思ってもみなかっただろう。

F筆者、三谷氏をベタ褒め!
改めて、三谷氏は視聴者の視点で脚本を書いていると思った。なぜなら流れが凄く自然なのである。三谷氏は点ではなく、線で書いている。分かりやすく言うと、新選組に起こる様々な出来事を点でつなげて、その間をつなげていく書き方をせず、あくまで一本の線があって、その線の上に出来事があるという書き方をしているのだ。(分かるかな?)流れが自然なのはこういうところにあると思われる。三谷氏自身も最初は視聴者の目線で見て、疑問を持ちながら解明していく・・・こういスタイルで新選組を追及していったのではないだろうか?だからこそ、京都に残る⇒八木家の反応⇒他の浪士が住みつく⇒誰が食事代を持つ?などと分かりやすく、自然な流れで書けるのだ。

G真の近藤勇はこれからだ
京都に残ると言ったものの、勇たちは前途多難だった。知恵者の山南も『見通しが甘かった。なんのために浪士組を離れたのか分からない』と口にする始末。『俺が作る!』と言った歳三も今回は元気がなかった。『何も出来なかった』と落ちこむ勇。そこへ『あなたが悩んでどうするんです。我々の事は考えなくていい。大事なのはあなたがどうしたいのか?あなたの決めた道が我らの進む道』と永倉が叱咤する。これには勇もさすがに堪えた事だろう。これから起こる様々な出来事によって徐々にリーダーシップを発揮していく予感がした。先週厳しく指摘したが、近藤勇像はこれから完成されるようだ。勇の顔も名前の通り勇ましくなってきたぞ!やはり三谷氏は我々を裏切らない!

Hひでが女性に戻るは?
総司たちが部屋で話をしている中に八木ひでも加わっていた。みんなが勇を慕っている話を聞いて"ござる言葉"で質問するが、総司に『年寄りくさい。若さがない』と言われる始末。でも着実に溶け込んできている事を伺わせた。さて、筆者予想の"女性に戻る"日はいつになるのだろう?三谷氏の秘策はいかに?

I容保に掛け合ったのは?
山南が、会津藩に預かってもらおうとアイデアを出した。さっそく京都守護職松平容保に取り次いで欲しいと佐々木に頼む勇。叶えられないと断る佐々木だが、浪士取締役鵜殿鳩翁から『お前の兄は会津藩公用方の手代木直右衛門だろう。佐々木、お前から頼んでやりなさい。骨を折ってやれ』と命令。佐々木只三郎が会津出身というのは有名な話であるが、新選組が会津預かりとなったのは、佐々木が口を利いたという説もある。鵜殿鳩翁を会して芹沢が掛け合ったとも伝えられているが、真相はいかに?でも、ここは対面が叶わなかった。それでいい。スムーズな流れで会津預かりとなるのはあまりにも不自然だ。

J勇vs小五郎
将軍の警護をしようとしても、遠くから野次馬のように行列を見物するだけの壬生浪士組。名前はともかく、これでは"自称・将軍警護"である。苦悩ぶりが伺えて良かったが、そんな中、『よおっ、征夷大将軍!』という冷やかしの言葉が…。それにいち早く反応した勇は、今言った男を追う。狐目の男・・・との事だが、そこに現れたのは長州藩の久坂玄端だった。そこへ斎藤が一言。『斬りますか?』このセリフはカッコ良かった。歳三は『逃げた男の名前を言ったら、お前を見逃してやる』そして『斬れ!』の指示。この絶妙な言い回しもカッコ良かった。そこへ桂小五郎が登場。将軍上洛に合わせて京都に来たとの事で、狐目の男は高杉晋作である事が明らかにされた。写真をご覧になった方は分かると思うが、高杉は確かに狐目である。登場しないまでも、そこに本当に高杉がいるようで良かった。『私に免じて勘弁して下さい』『この人達は敵に回さないほうがいい』『仲良くやりましょう』と言う桂だったが、その姿は江戸にいた頃の桂ではなかった。顔つきも引き締まり、言葉にも重みがあった。さぁ、近藤勇vs桂小五郎が始まった。

K励め!
今回の一件は松平容保の耳にも入り、『ますます合いたくなった』と、晴れて勇は容保との対面が叶った。近藤勇と松平容保…これから強い信頼関係で結ばれるだけにどんなやりとりがされるかと思ったが、容保の言葉は『励め!』の一言だった。ちょっと簡単すぎない?とも思ったが、ここはこれで良い。一言だから余計に良かったのかもしれない。実際、ここまで至るのはもっと大変だっただろうが、治安維持に四苦八苦していた会津藩と、引き受け先を求めていた壬生浪士組のお互いの利害が一致したのは間違いない。

L勇派vs芹沢派
容保の言葉に感激した勇。その顔は希望に満ちていた。やっと自分の進むべき道が決まったかのようにさわやかな顔でもあった。でも芹沢を酒を誘ったが、『お前とは飲まない』と断られてしまう。同志とは表面上で、近藤派、芹沢派に分かれてしまったのは否めない。芹沢がどんな気持ちでいるのかは分からないが、『お前ばかり良いカッコして…』といった所か。

Mこれからです・・・これからです
京都残留の浪士組17名が会津藩預かりとなった。佐々木は勇の心意気を評価する一方、芹沢の存在を心配した。勝手な真似はさせられないと殿内義雄を目付け役にするが、殿内のキャラをこれまでしっかり描いていた効果が出てきた。結局、新たに残るものを含めて24名となったが、新選組までもう少しだ…。山南の『これからです…これからです』の言葉には重みがあった。思わず筆者も心で同じ事を思った。本当にこれからが楽しみだ。

Nツボを心得ている
番組の最後にあった『なんであんた帰ってきたの?』という沖田みつのオチは面白かった。林太郎の表情も良かった。三谷氏の脚本にはやはりメリハリがある!今まで三谷氏には映画、舞台などで数多く笑わせてもたったが、やはりこの人はツボを心得ている。期待を裏切る事はないと信じてみていきたい。

【来週の展望】
会津預かりとなって、いよいよ壬生浪士組が動き出した。誰がリーダーとなるか?そのやりとりも来週見られそうだ。とにかくこれから起こるひとつひとつに注目だ!

第15回「行くか、残るか」 (4月18日放送)

【物語】
清河八郎(白井晃)の真意が、“浪士組を朝廷のために働く兵にする”ことにあったと露見し、幹部の佐々木只三郎(伊原剛志)らは清河の思惑通りにさせまいと、浪士組全員の江戸帰還を決定をする。その頃、のん気に京都生活を始めた勇(香取慎吾)ら試衛館の面々は、寄宿する八木邸の主・源之丞(伊東四朗)らから毛嫌いされていた。ある理由から男装している八木家の一人娘・ひで(吹石一恵)は、総司(藤原竜也)たちから男だと思われ、剣術の指導を受ける羽目になってしまう。一方、山南(堺雅人)からもたらされた情報で、浪士組の江戸帰還が決まったと知った歳三(山本耕史)は、京都に残って自分たちだけの浪士組を作ろうと勇に持ちかける。勇はことの次第を芹沢鴨(佐藤浩市)に打ち明けるが、芹沢は勇たちと行動を共にすることを断わる。しかし、清河が浪士組の面々を集めた場で江戸への帰還を宣言すると、勇たちだけではなく芹沢までもが清河に反旗を翻して京都に残ると言い出す。「浪士組が京都を後にする」と聞いて胸をなでおろしていた八木家の人々は、勇たちだけは残留すると聞き落胆する。一旦自分たちの進む方向を定めた芹沢らは、「清河を斬る」と息巻くが…。
【牛嶋のズバリ感想文】
先週から今週にかけては徳川家康三昧だった。一気に17話まで見たが、徳川家康に出演した俳優の多くが、引き続き役所武蔵に出ている事に気がついた。ちなみに徳川家康が1983年、宮本武蔵が1984年に放送されたが、ではざっと紹介しよう。まず織田信長役の役所広司さん。石川数正役の江原真二郎さん。武田勝頼役の藤堂新二さん。竹内波太郎役の石坂浩二さん。竹千代役の加瀬悦孝さん。 瀬名役の池上季実子さん。松平信康役の宅間伸さん。お久の方役の高橋惠子さん。大久保長安役の津川雅彦さん。大政所役の鈴木光枝さんなどなど・・・現在分かる範囲でもこれだけの方が出演している。一方で小山内美江子さんが脚本を務めているという事で”金八ファミリー”の出演も目立つが、良いドラマが出来るならこういう現象は大いに結構である。筆者も制作者なのでよく分かるが、実は心が通じあってる人同士だと作りやすいというメリットがある。それは決してナアナアな関係になるという訳ではない。心と心が通じ合う事で信頼関係が生まれるという事である。現に”新選組!”も三谷ファミリー?ともいうべき、三谷氏ゆかりの俳優が多数出演しているが、これは大いに結構。以上の事からみんな強い信頼関係の中で撮影に臨んでいると思われる。さぁ、それでは今週の感想文にいきましょう。

@あっぱれ佐々木!
結果的に清河の手助けをした事になった佐々木只三郎は、これ以上清河に好き勝手にはさせないと、浪士取扱役・鵜殿鳩翁と話し合った末、浪士組を江戸に帰す事を決めた。そして江戸に戻ったら清河を斬ると心に決めたのであった。ここ数週間清河と佐々木の確執が描かれていたが、今回の佐々木の決断は素晴らしかったと思う。このまま清河に屈していたら、清河指導の元で時代も大きく変わっていたかもしれないし、清河も桂小五郎、西郷隆盛らと同じくらい知名度を確立したかもしれない。ご存知のように清河はこの後佐々木によって命を落とす事になるが、佐々木がだらしない人物だったら、清河も死なずに済んだのかもしれない。先に朝廷に動かれたのは失態だとしても、佐々木の行動は良かった。伊原剛志さんの演技も光った。白井晃さんの鬼気迫る演技も良かった。眉間のしわがとても印象的だった。

Aところてん論議
今週は先週から5日後である1863年2月29日が描かれた。清河の動きも知らず、勇ら試衛館の面々は八木邸でのんびり生活を送っていた。朝から豪勢な食事で、ご飯のおかわり、飯が合わないと言う芹沢、釜で炊いたご飯にお焦げがあるなど日常がよく分かるシーンだった。しかしこれだけで終わらないのは三谷流。甘味屋でのところてん論議に発展したのだ。黒蜜をかけるか?酢醤油か?で、同じ国でこれほど違うなんてと話題になるが、とても面白いエピソードだったと思う。時代劇において生活面も描かれるのはとてもいい事。以前も納豆論議があったが、食べ物の話題は見ている人が身近に感じられる。さすが三谷氏!なお、原田左之助夫人となるはしのえみさん演じるまさが初登場。今後の原田とのからみも注目だ。

Bほうきを逆さに・・・が解明
当掲示板でも話題になったが、ほうきを逆さにする意味が今週明かにされた。週をまたいだので謎が解明されないままで終わるのでは?と思ったが、さすが三谷氏!1週置くことで印象も強くなったのではないだろうか?今週は逆さになっていたのに気づいた勇が元に戻し、それを見た姑が再度逆さにするというダイレクトな演出だった。お梅によって”早く帰って欲しい”という風習である事が分かったが、そこで初めて嫌われている事に気づいた勇。将軍警護で来たのになぜ?と疑問が膨らんだのは言うまでもない。

Cひではマスコットになるか?
八木ひでは相変わらず剣術を教えてもらっていた。総司から刀の握り方を、抱きしめられるようにして教わっていたが、これらの行為にやがては”優しい人達”と思うようになるのではないだろうか?今後、ひでが女とバレるのもきっと描かれる事だろう。その時は試衛館の面々の可愛いマスコット的な存在になればいいなぁ〜なんて思ってしまったが、勇らを欺くだけで終わらないような気がする。でもその方が絶対に良い。

D芹沢と梅の出会い
鈴木京香さん演じるお梅と芹沢が初対面。格子越しだったが、お梅を『小粋な女だ』と言った芹沢。ご存知!お梅は芹沢と親密になり最後は芹沢と道連れとなるが、今後の芹沢とお梅のからみが楽しみだ。それにしても鈴木京香さんは綺麗だ!

E試衛館の絆
江戸帰還の知らせを受けて、歳三が勇に『俺達だけで浪士組を作ろう』と訴えた。勇の『出来るのか?』という不安にも『俺が作る!その時はあんたが大将だ』と説得する。誠にもって歳三の行動、決断、説得力は見事だ。中でもこの言葉が効いた!『誰が(京都に残ると)口火を切るかで今後が決まってくる』と・・・。見事ではないか!歳三はよく分かっている!現代に生きていたら、ヘッドハンティングの対象となる人物となっていたであろう。

F〜していたら・・・
全員を集めて清河から一連の説明がなされた。反対する人が1人。なんと先番宿割の池田徳太郎であった。そして勇ら試衛館組も残留を表明。それに続いたのが芹沢だ。芹沢曰く『もう少しバカに付き合う事にした』との事だが、勇を信頼しての事と思われる。と同時に、芹沢が勇とともに新選組を支えていたらどうなっていただろう?と思ってしまった。おっと、筆者は『〜していたら・・・どうなっていたか?』という例えが多すぎるようだ。もうやめよう。でも、このページをご覧になっている方はそう考る事はないだろうか?

G池田徳太郎とは何者?
池田徳太郎は、清河を友達だと思っていたと号泣。しかし勇が『池田さん』と勇が話しかけた際に、『えっ、清河が俺を呼んでるの?』とすぐに聞き返したように、清河が追いかけて来るのを期待しているかのようだった。池田徳太郎は浪士組解散に伴って故郷の広島に戻り、幕府滅亡後は、若森県権知事などを務めた人物である。こういう人物が浪士組に加わっていたのも面白い話だが、番組では説明されなかった。残念だが、そこまでドラマに期待するべきではない。後は我々一部のマニアックな人間で楽しめばいいのだ。でも先番宿割とはいえ、こういう人物をさりげなく出すとは恐れ入った!

H山南、カッコいいぞ!
京都残留を山南だけが難色を示していた。江戸に戻るか京都に残るか・・・勇は説得するが、最後は『遠慮することはない。自分の思うようにして下さい』と告げた。結局、勇と歳三以下試衛館からは7人、芹沢派を加えて計12人となった。しかしそこへ『13人です』の声が・・・。なんと!それは山南だった。『人を信じない人間に命は預けられない。どこまでも近藤さんに付いていきます』と、山南も残留を決めたのだった。分かってたとはいえ、あまりにもカッコ良すぎるシ−ンだった。さすが三谷氏!それと所々でつばを飲み込む堺雅人さんの演技にも目をひいた。しかし、やがては脱走し切腹させられる事になるとは・・・誠にもって残念!

Iあれっ?粕谷は?
今回もいろいろ細かい演出がなされた。まず新見錦だ。『京へ残るという事は天子様をお守りするのも大義ではないか?』と清河へ訴えたが、前回話題にした”学のある”新見の一面ではないだろうか?学がなかったらまず発言する事はないだろう。そして粕谷新五郎だ。総司が一緒に残るよう誘うが、『年が年だけに残らない』と断った。これを見て、『あれっ?粕谷も残るんじゃなかったっけ?』と思ったが、この話にはきっと続きがあるのだろう。残った残らないには諸説あるらしい。それにしても伊吹吾郎さんは貫禄がある!それと殿内義雄も『江戸に戻らなければいけないですか?』と清河に訴えていたが、この男の生き様もしっかり見ていこうではないか。

Jひでの笑み
浪士組に帰還命令が出たと喜ぶ八木家の人々。しかし、そこへ勇が現れてこのまま京都に残る話を聞かされる。がっかりする八木家の人々。残ると告げられた際、聞き耳を立てていたひでの笑顔が印象的だった。やはりみんなを理解し始めているようだ。

K新選組に学ぶ事
清河が勇の前に現れた。よくも敵陣?に乗り込めるもんだなぁ〜と思ったが、清河と勇の対面は我々視聴者も期待していたのでこのシーンは嬉しかった。ここで清河から幾つかの印象的な言葉が・・・。『時代の先が見えていない。身分のない新しい国を作る。侍の時代は終わります。私が終わらせる!』。これを聞いて、勇達が時代を読めなかったと誤解されるかもしれないが、それは今の時代だからこそ言える事ではないかと思う。この時、確かに幕府の力が弱くなっていた。それは勇も感じていただろう。逆に時代を読んでいたかもしれない。でも幕府は幕府である。倒幕という考えは勇には見当たらなかった。京都の治安を守る新選組の役割も当然の事。”時代に逆行するかのように幕末の動乱期を駆け抜けた・・・”と表現される新選組だが、今出来る事を精一杯やったのが新選組だと思っている。その”若さゆえのひたむきさ”を我々は学びたい。

L清河をなぜ逃がした?
勇は『あなたの命を狙ってる者がいます』と清河に警告した。しかし『私は死なない。天が私を望む間は私は死なない。(望まなくなったら)その時は喜んでこの首を差し上げよう』と答えた。まさに命を天に預けたといった所だが、自分を騙した清河を勇はあっさり逃がしてしまった。『あなたにはもう少し長生きをしてもらいます』と言っていたが、その理由が分からなかった。当然、芹沢たちは斬るつもりでいた。しかし、勇は止めた。う〜ん、分からない。

M斎藤、お前もカッコ良すぎる!
芹沢一派らが清河を追うが、火事で町が混乱した事、また山南の策略?によって清河は難を逃れた。そして必死で逃げる清河の前に山口改め斎藤一が登場!『お前を助けようとしている人に恩がある』と清河を誘導するが、これもカッコ良すぎ!正義のヒーローがピンチを救うかのような素晴らしい演出だった。そして勇と久々の対面。斎藤の声は震えていた。そしてなんとなく目が潤んでいた。これも、苦労した中で助けてくれた恩人を前に、こみ上げてくるものがあったのだろう。さぁ、最高の演出で再登場した斎藤一。今後の活躍が楽しみだ。

N誰か教えて下さい
斎藤の登場で清河は無事に逃げる事に成功した。『無駄な殺し合いはするべきではない』と勇らは満足気で、総司は最後に『清河さん、ありがとう』と大声で叫ぶ始末。正直言ってまだその真意が分からない。これが武士の情けなのだろうか?ちょっと頭を抱え込んでしまった。誰か教えて下さい。

O三谷さんに一言!
今回の清河を逃がした一件もそうだが、筆者は”近藤勇像”に対してさらに疑問が膨らんでしまった。京都残留も『我々は将軍様の警護をしに来た』と正直な言葉だけにとどまっていたし、新しい浪士組も歳三の発案によるもの。じゃぁ、勇の意志は?というと、@ところてんには酢醤油A池田徳太郎を勧誘B山南を説得するも最後は一任C清河の言葉にも真っ直ぐな意見しか述べなかったD眠れないほど悩んだ末に決めた京都行きを裏切った清河を逃がした・・・。ますます人の良さに磨きがかかったようだった。人が良いのは大いに結構。でも、こんなに良い人が斬首され、首を焼酎に浸されて京都に送られ、三条河原に晒されたと思うと、あまりもひどすぎるっ!前にも指摘したが、相変わらず”近藤勇”が確立されていないのは確か。これでいいのだろうか?筆者が持つ近藤勇像に期待しすぎなのだろうか?確かに『新選組!』は面白いが、これだけが大いに不満である。三谷氏に策があると期待したい。でも、こんな感想は筆者だけ?と思ったが、掲示板に同じような意見の書き込みがあった。”剛毅の局長”はこんな剛毅さではないだろう!というのが筆者の考え。

【来週の展望】
来週のタイトルは『一筆啓上、つね様』。勇からつねに手紙が送れられるようだ。どんな気持ちで毎日つねが過ごしているのか注目したい。一方京都では京都残留組による壬生浪士組が結成される。そして会津藩に支援を求める事になるが、その経緯をしっかり見ておきたい。近藤勇と松平容保の対面にも注目だ。

第14回「京へ到着」 (4月11日放送)

【物語】
文勇(香取慎吾)ら浪士組が到着した京都では、足利将軍家の木像の首が三条河原にさらされるなど、長州を中心とした尊攘浪士の暗躍により幕府の権威は著しく失墜。そんな中、京都守護職・松平容保(筒井道隆)は京の治安回復に向け、神経をすり減らす日々を送っていた。その頃、勇や芹沢(佐藤浩市)たちは、京都郊外の壬生にある八木源之丞(伊東四朗)邸に寄宿することになる。八木家では、娘のひで(吹石一恵)に当分男装させ、万一のことが無いように防御線を張っていた。京に到着した浪士組の主だった者は、隊の提唱者・清河八郎(白井晃)に呼び出され、朝廷への建白書に署名をさせられる。それが、幕府ではなく朝廷に忠誠を誓うことを願い出るという内容であることに気づいた山南(堺雅人)は、清河の後ろ盾になっている幕臣・山岡鉄太郎(羽場裕一)に真偽を確かめる。そんな情勢下、芹沢はさっそく京都の町で不逞浪士と斬り合いを演じる。一方の勇はと言えば、八木家の家族に剣術を教えたり、江戸にいた以上にのどかな時間を過ごしていた。幕臣・佐々木只三郎(伊原剛志)は、到着後の清河の言動に不快感を露にするが。
【牛嶋のズバリ感想文】
今週は時代劇専門チャンネルで放送された萬屋錦之介主演の”竜馬がゆく”を見た。1982年にテレビ東京で放送されたものだが、ドラマ全体を語る前に”萬屋錦之介の坂本竜馬”には無理があったと思う。当時錦之介は既に50歳。どう見ても年齢的に違和感があるのだ。姉の乙女は岸田今日子だったが、これも無理がある。年齢的なバランスを考えたら錦之介より年上の女優を使うしかなかったと思われる。実はこの年に中村プロが倒産したのだが、錦之介は起死回生を狙ったのだろう。現に、企画に萬屋錦之介の名が連ねられ、中岡慎太郎は弟の中村嘉葎雄が演じていた。実はこの作品の存在を筆者は今回はじめて知ったのだが、今までそれほど話題に上らなかったのは、やはり作品に無理があったからだろう。全13話見るだけでも辛いが、やはり年齢と役柄は、うまくリンクしていなければらないのではないだろうか?すでにこの世にはいない錦之介さんには悪いが、やるならもっと適役があったと思うのだが・・・。それでは、今週の感想文にいきましょう。

@これも面白いエピソードだ
浪士組の到着を前に、受け入れ先の壬生村では235名の宿割りをどうするかが話し合われた。一番の懸案は芹沢鴨をどこに宿泊させるか・・・。既に芹沢の評判は京にも入っているようで、勇も”芹沢を唯一なだめられる男”として知られる存在であった。結局、話し合いに遅れてきたのを理由に八木源之丞の家に泊まる事が決まったが、迎える側は浪士組の存在を恐れていたようだ。でもそれは当たり前の事。浪士組は浪人の集団なのである。恐くないはずがない。娘の身を守ろうと吹石一恵演じる娘・ひでを男にしたのも当然の処置で、このまま235名が京に居座ったとしたらどうなっていただろうか。でも、これらのエピソ−ドはなかなか描かれないだけにとても良かったと思う。

A辛いところ
今週は浪士組が京に到着した2月23日を描いた。到着するないなや、浪士組が目にしたのは黒山の人だかりだった。なんと!足利将軍家の木像の首が3つさらされていたのである。幕府の権威が失墜した事を物語る話である・・・が、しかし、この辺りが実にもったいない。京都の町の風景が江戸と変わらなかったし、あまりにも映像が綺麗すぎて”荒れた京都”というのが伝わらないのが残念だった。映像がどんどん綺麗になっていくのは時代の流れだが、ある意味時代を感じさせなくなるというデメリットもあるのではないだろうか。ましてや日本全国の視聴者が見るNHK大河ドラマ。過激なシーンにも限界がある。今回は木像の首だったが、生首はさすがに描けないだろう。この辺りが辛い所だ。

B筒井容保登場!
京都守護職・松平容保が登場した。この職を引き受けてしまった事が会津の運命を決めてしまった訳だが、容保はどんな気持ちで職務にあたっていたのだろうか。容保は勇よりも1つ年下。だからもっと若い俳優を起用しても良かった気がするが、筆者の好きな筒井道隆さんだから許す事にしよう(笑)。なぜ筒井道隆さんを好きなのかというと、筆者が尊敬する上杉鷹山を見事に演じた事にある。過去に放送されたNHKドラマだが、再放送を望むのは私だけではないはず。なお、上杉鷹山をまだかじった事がない方は是非、童門冬ニ先生の著書”上杉鷹山”をお読み下さい。感動しますぞ。筆者の人生の教科書になっています。

C強引な設定はもう結構
坂本龍馬が鉄砲を撃つシーンが登場。そこへ浪士組が到着、そしてその中に試衛館の近藤勇がいた事を知らされる。龍馬は”近藤さんがいよいよ京に来たのか!”と言っていたが、ドラマとしては面白い展開だ。でもやはり、以前から勇と龍馬が知り合いだったというのは不自然だし強引すぎる。もちろん可能性がなかった訳ではないが、先日も某新聞の社説でこの件を思いきり叩かれていたようだ。厳しいようだが、”もう強引な設定はいらない”というのが筆者の見解。

D原作・八木為三郎?
勇、芹沢達を八木家の人全てが、恐れながらも歓迎?した。八木源之丞によって、妻、姑、息子2人?が紹介されたが、息子の八木為三郎はのちに子母澤寛の”新選組遺聞”に収録されている”八木為三郎老人壬生ばなし”で、新選組の日常を伝える功労者となる。沖田総司を”色の青黒い人・・・”と表現したのが実は為三郎であったのだ。でもこの時為三郎に、”将来ドラマ化しますから、しっかり新選組の記録を残しておいて下さい”と頼めたら凄い事になっていただろう。その時は原作・八木為三郎になっていたかも。でも、”ドラマってなんですか?”とまず聞かれる事だろう。

Eにくたらしく描いて欲しい
源之丞が部屋割りを提案する前に、芹沢は”俺はこの部屋でいい”と、八木夫婦が生活する広い部屋を所望した。それには黙って了承した源之丞だが、これが八木邸における”芹沢横暴シリーズ”第一弾だった。今後横暴ぶりもどんどんエスカレートする事になるが、まさか自分が八木邸で命を奪われるとは、この時思いもしなかっただろう。とにかく”殺されても仕方がない男”と思えるほど、にくたらしい芹沢を描いて欲しいのが筆者の気持ち。でも、源之丞が家族を紹介した際、”ペコリ”と頭を下げていた芹沢はなんか可愛かった。

F総司vs芹沢の遺恨が勃発!
京都に到着したその日に芹沢は外に飲みに出かけた。試衛館メンバーも誘われ、総司と永倉が同席したが、そこで芹沢は、人を斬った事がない総司に向かって”汚れてないのは嫌いだ!”と早くも挑発的な行動に出た。総司は笑みを浮かべて黙殺したが、この遺恨がのちのち生かされるのだろうか?芹沢殺害の中心人物は歳三だが、総司が斬りつけたとも言われている。沖田総司vs芹沢鴨の今後が楽しみだ。

G永倉さん?
前からちょっと気になっていたが、勇は永新八の事を”永倉さん”と呼んでいる。試衛館の食客という事で気を使っていたのか?でも年下相手に”さん”はないだろうと思う。正直言ってその言葉づかいの丁寧さなどから”香取勇”の軽さを感じるのは私だけだろうか。先週は最後の最後で男をあげた勇。でも、このまま純粋すぎる勇では、なんとなく不安がある。それを歳三がカバーして勇像が確立されるのかもしれないが、今の時点では”新選組局長・近藤勇”のキャラが確立されていないのではないかと思う。でも、筆者の思い込みが激しすぎるのかなぁ〜。

H”学のある男?”新見錦
京都に到着した清河はすぐ行動に出た。天子様に真の目的を申し上げるため建白書を差し出すとの事で、まずは浪士全員の名を連ねさせた。そんな中、山南が不信感を募らせて佐々木只三郎に訴えた。佐々木は清河に問い詰めるが、その時に佐々木が呼んだのは”芹沢の片腕”ともいうべき新見錦だった。”ん?なんで新見が?”と思ったが、佐々木は”浪士の中にも学のあるヤツがいる”と言った。なんと!それが新見だったのだ。失礼ながら、どう見ても新見に学があるとは思えない。これはイミテーションなのか?それとも本当?新見について誰か知っていたら教えて下さい。外見で判断してはいけないと分かっているが、分からないものは仕方ない。それにしても新見を演じる相島一之さんの面構えがとても良い。

I詳しく描かれるメリット
建白書を天子様に差し出した事で、尊王攘夷!と声高らかに宣言した清河。これから大きな展開を見せる事になるが、今回の一連の動きは見ていてとても新鮮だった。これまで新選組を描いた映画やドラマでは、ここまで詳しく描いたものはなかった。建白書を出して受理されていたという事実も筆者は知らなかった。これも1年を通して描くドラマのメリットだが、大河ドラマ”新選組!”で新たなエピソードや事実を知った事は多いのは嬉しい事。とにかく今後も期待してまっせ。

【来週の展望】
来週は清河の本当の目的が浪士全員に明らかになる。勇や芹沢は京都に残る!と訴えるが、多くは江戸に戻る事になる。その辺りの細かい演出に期待したいものだ。予告の中に”清河さんを呼び戻す!”という勇のセリフがあったが、自分を騙した人間に向かっては、やはり”清河!”と呼び捨てにして欲しい・・・おっと、その辺りは来週見てから書こう。

第13回「芹沢鴨、爆発」 (4月 4日放送)

【物語】
文久3年(1863年)2月10日、中山道・本庄宿。京都へ向かう浪士組の先番宿割の任に就いていた勇(香取慎吾)は、思わぬ苦境に立たされていた。そもそも「浪士組を清河八郎(白井晃)の思い通りにさせまい」とする佐々木只三郎(伊原剛志)が、出立間際になって上洛経路を変更したために宿の確保がままならないのだ。そんな勇を助けようと駆けつけた歳三(山本耕史)が試衛館の面々を動員し、巧みな差配で何とか全員の宿を確保する。勇の存在を認めさせて浪士組内で確たる地位に就かせたい。そう考える歳三は、勇を支えることに全力を傾ける。しかし、浪士達は一筋縄ではいかぬ我がまま者ばかり。冷静沈着な山南(堺雅人)ですら、横柄な浪士との間で一触即発の事態になりかかる。また、芹沢鴨(佐藤浩市)は、普段から佐々木ら幹部に反発し、道中でも素行不良を繰り返していた。そこで佐々木は、宿割りを利用して芹沢を仲間と切り離そうとするが、そこに悪い偶然が重なったことで芹沢は激怒する。  その夜、芹沢が宿場のど真ん中で巨大な焚き火を始め、宿場中が騒然とした空気に包まれる。いつ火事が起きてもおかしくない状況の中、事態を収めようとする勇は、燃え盛る炎を前に身体を張って芹沢と対峙する…。
【牛嶋のズバリ解説】
まず筆者多忙のためにに更新が遅くなってしまった事をお詫びします。そんな中、今週も寝る間際の時間を使ってスカパーで放送されている”大河ドラマ・徳川家康”を見た。滝田家康登場の第7話まで見たが、ノーマルな作りにとても好感が持てた。でも大河ドラマは、こうでなければいけないのではないだろうか?国営放送でありながら視聴率至上主義になっている最近のNHKさんには一考を願いたい。視聴率よりも、良いモノを作ろうとすれば視聴率が上がる!そういう考えは持てないのだろうか。いや、持てないからこそ作り方が変わったと思われる。申し訳ないが、”新選組!”にもその一部分が見え隠れする。全てを否定するつもりはないが、モノの本質を見て欲しいとあえて苦言を呈しておこう。さて話は”徳川家康”の話に戻るが、織田信長を演じるのは役所広司さんの素晴らしさが注目をひいた。以前からいろんな人に 評判は聞いていたが、想像を遥かに上回る信長だった。見ていてとにかく気持ちが良い。役所さんは当時まだ無名の俳優だったような気がするが、確かこの信長役の好演で”宮本武蔵”が決まったと思ったのだが・・・。でも、竹千代役の加瀬悦孝くんとのからみを見て、”おっ!武蔵と城太郎だ”と突っ込みを入れてしまったのは私だけではないはず。それと、高札(掲示板)で指摘されたおっ○いポロリシーンも早々と登場。ポロリというよりは剥ぎ取られていたが、こんなシーンを入れてもいいのか?と思ってしまった。強引に入れるほどのものではないような気がするが、男性にとってはおいしいシーンだ。そう言えば竹中直人さんの”秀吉”でも、おね役の沢口靖子さんの胸が出た事があった。胸は他人の胸に差し替えたらしいが、実際見てドキドキしたものだ。それにしても男とはバカなもんである。事実、ポロリ論議でこんなに行数を使ってしまった。ははは。さて、今回の感想文にいきましょう。

@勇と試衛館メンバーのエピソード
今週は江戸を出発して2日後の文久3年(1863年)2月10日を描いた。場所は中山道・本庄宿。勇の先番宿割という役は、隊より先に宿場町に到着して、宿の手配をする役目であった。電話があれば簡単に済む話だが、交通網も今のように発達していなかっただけに当時は大変な役目だっただろう。案の定、200名以上の宿を1人で任される始末。しかも公家が来るとの事で思うように宿が取れないピンチに陥ってしまった。しかし、そこへ登場したのが試衛館の面々。実に心強い面々ではないか!これぞ、勇がいかにみんなから慕われていたかを表すエピソードだ。でも試衛館のメンバーが協力したというのは事実なのだろうか・・・。

A身分はいつまでつきまとう?
宿を1人で任される際に”お前は百姓あがりだそうだな。それが将軍さまの警護か?”と、池田徳太郎に嫌味を言われてしまった勇。ここでまたまた身分の話が出て来たが、当時は百姓上がりが剣を持つなど考えられなかった事のようだ。でも浪士組は身分を問わない集まりのはず。役がついた事で、このような嫌味を言われたものと思われるが、”身分”はいつまで勇の身を付きまとうのだろう。

B歳三って前からこうでしたっけ?
試衛館のメンバーが登場し、さっそく宿を取る方法を話し合った。部屋が空いている宿と何人泊まれるかをまずは探る事になったが、それを仕切っていたのは土方歳三。ここ数週で大活躍の歳三だが、急に知恵者、策士になったような気がする。”一群の将はじっとしているもんだ””俺は決めたんだ。俺はあんたを京で男にするって。俺はあんたにかけたんだ””礼はいらない””人前で俺をトシさんと呼ぶな”と数々の重みのある言葉が出てきたが、これらは元々持っていた才能か?でも、何をきっかけに歳三の気持ちが固まったのか?歳三の転換が描かれなかったのがちょっと不自然のようにも思えた。しかし、歳三なくして近藤勇はありえなかったのだという事が改めて分かった。

C現代風はやめて・・・
宿を訪ねた際、”すみませ〜ん”と藤堂平助が言っていたが、この言葉使いは凄く違和感があった。当時からこんな言葉を使っていたのだろうか?そうなら納得するが、どうも現代風の言葉使いには神経質になってしまう。筆者的には、分かりにくくてもいいから、出来るだけ歴史を感じさせる言葉使いをして欲しいと思っている。と言うより、現代風の言葉は避けて欲しいと言った方がいいだろうか・・・。

Dホントみんな個性的
うまく部屋割りをする山南敬介は本当に頼りになる男だ。この姿からやがて新選組を脱退しようとする姿は全く見られない。その他、到着する隊をどう部屋に入れるか策をめぐらす歳三。本当にたくましくなった。そして、それを隊に説明しに行く原田左之助。”こんなヤツはいない!”と今でも思うが、見ていて笑ってしまうなど、今ではキャラがしっかり確立されたと思う。そして、明るい声で部屋に案内する沖田総司は天真爛漫だ。病死するなんて想像がつかない。一番組小頭・根岸友山を”おじいちゃん”と呼ぶ姿にはやさしさと度胸を感じた。また、永倉新八は親の仇で入隊した若者をうまく仕切る。相変わらず山口智充さんは良い。以上、ホントに個性ある集団だ。1話の中で、登場人物の細かい動きがうまく表現されているのは素晴らしい事。去年の”武蔵”で登場人物が多すぎてよく伝わらない!と指摘したが、これも全ては作り方次第である。何度も書いてきた事だが、脚本&演出には関心するばかりだ。

E遺恨の先にはドラマがある
佐々木只三郎と芹沢鴨が対立している。隊を離れるという芹沢は”京へは行くが、お前らとは行かない。ガキじゃねえんだ”とまで言い出す始末。それに対して、”身勝手な振る舞いは許さない。私の命令はお上の命令だ”と突っぱねる佐々木。この遺恨がのちに生かされるから物語は面白い。遺恨があるからこそ物語には先があるという事が言えるのかもしれない。

F宿にまつわる面白話
今回は浪士組が宿に泊まる様子を描いたのが物語の中心だった。数々の新選組作品でもここまでじっくり宿の話を描いた作品があっただろうか?描きたくても時間の都合で描かなかったというのが正直な話なのだろうが、そのあたりは1年を通して描く大河ドラマならではだろう。まさか宿割りの仕事がこんなに苦労があったなんて知らなかったし、浪士それぞれの人間性も垣間見られてとても貴重だった。

G試衛館の面々はたくましい
浪士組にはとにかくいろんな人がいるもんだというのが感想である。芹沢は夜通し酒を飲んで騒いだという事で1人部屋にする処置が取られた。殿内義雄は知らない人と一緒には寝られないと言い出した。大村達尾は仇討ちの相手と同じ部屋で過ごす事になった。足が疲れた!水を汲んで来い!と訴える男もいた。ここで見事だったのは山南だ。”私の仕事ではない”ときっぱりと断り、立ち合うのも辞さない状態。そこへ歳三がやってきて、”その男を切ったら言って下さい。部屋が空きます・・・”と、慌てる事なくシラーっと言ったのも印象的だった。個性的な人物が登場する中、試衛館の面々をたくましく描いた回でもあった。

H熱(暑)そうじゃなかった
”1人部屋”だと思った芹沢鴨の部屋はなんと鶏小屋だった。激怒すると思われたが、鴨には鶏小屋がお似合いだと芹沢は小屋の中に入ってしまう。歳三らが謝りに行くが、今度は”野宿をする”と言い出す始末。素直・・・いや意地っ張りと思いきや、これが嵐の前の静けさだった。ここからは有名な焚き火のシーンが登場する。そして満を持して近藤勇の出番だった。火の横で正座して謝り、ここを動きませんと焚き火を止めさせようとする勇。火の横でじっと耐え、火の粉が飛んでもじっとしている姿にさすがの芹沢も観念した。一夜にして近藤勇の存在を知らしめた有名なエピソードだったが、この話は芹沢の部屋を取り忘れたと聞いているが、鶏小屋を割り当てたという話になっていた。これは事実なのだろうか?それとも創作?でも、あまり火の横が熱そうでなかったのが残念だ。せめて勇と芹沢の顔に汗をかかせて欲しかったが・・・筆者は欲の持ちすぎであろう か?

I芹沢もっかり描いていた
芹沢と対峙する勇の姿を見て沖田が粕谷に仲裁を求めた。しかし粕谷は”芹沢はただの暴れ馬ではない。浪士組の中で誰が使えて誰が使えないか見極めようとしている”と冷静に答えた。これは、芹沢はただの荒くれ者ではなかったというエピソードではないだろうか?確かに横暴ぶりは目立つが、芹沢鴨の人間性にも鋭く迫っていたのには好感が持てた。さすが三谷氏!もしかしたら芹沢は、人一倍臆病だったのかもしれない。最後の紀行にもあったように、自らの死に場所を選んで浪士組に加わったというのも、あながち嘘ではないと思った。芹沢は芹沢で必死だったのだろう。なんとなく芹沢に同情したくなってしまった。でも決して芹沢は美化して欲しくない。

J言葉通りに受け止めた筆者
当掲示板でも論議されていたが、”俺達の頭は、俺達が思っている以上に大したお方かもしれないな”という点を最後に書いておこう。これは、この言葉通り!と筆者は受け止めている。実は筆者は焚き火が趣味なのだが、あのような火があがっている横でじっと座っている事自体大変な事で、下手したら大やけどを追ってしまう。そこでずっと正座したのだから近藤勇の根性は並大抵のものではないと思われる。しかし、それだけで”大したお方”と言うつもりはない。では、どこが大したお方なのかと言うと、責任の取り方を知っている人間であったという事だ。近藤勇は試衛館のリーダーである。会社で例えると社長だ。今回は土方ら部下が問題を処理しようとしたが、部下の処理にも限界がある時がある。その時最後は責任者が出て行くしかないのである。まさに今回のがそれで、最後は見事に責任者が全てを収めたという事になる。最後の責任の取り方を知っていた勇の姿を見て、試衛館の面々は”大したお方”と言ったのだろう。結果的に一番おいしい所・・・という気がしないでもないが、最後にちゃんと責任を取れる人が現代にどれだけいるだろう。みんな逃げ逃げ・・・である。上に立つ人は見習うべき事ではないだろうか。

【来週の予告】
来週は京に着くようだ。新選組誕生はもうまもなくである。どんどん話は面白くなっていくが、なんと!今回の予告は来週の予告だけにあらず、再来週以降の話も少し紹介された。新たな展開に、興味がますます膨らんだのは言うまでもない。純粋に”早く来い来い日曜日・・・”といった感じか。三谷氏には世間の批判に負けずに頑張って欲しい。

第12回「西へ!」 (3月28日放送)

【物語】
文久3年(1863年)2月8日、江戸。浪士組が京都に向けて出立する日がやって来た。集合場所の伝通院では、各組の編成が発表される。しかし、博徒ですら責任ある役を与えられているにもかかわらず、勇(香取慎吾)は無役の一浪士扱いで、歳三(山本耕史)たちはぶ然とする。試衛館道場主としての勇の面子もあり、山南(堺雅人)は、知り合いの浪士組幹部・山岡鉄太郎(羽場裕一)に直談判するが、らちが開かない。浪士組の人事や編成は、提唱者の清河八郎(白井晃)が一手に握っていた。そのことを知った歳三は勇を役付けにするために一計を案じ、「浪士組に入れるように取り計らう」と言って捨助(中村獅童)から五十両を騙し取る。一方、我が物顔で振舞う清河の影響力を弱めようと考えた佐々木只三郎(伊原剛志)は、清河が立案した東海道を通っての上洛行程を強引に中山道に変更してしまう。これに怒った清河は、本隊と別行動を取ると宣言する。実は清河には、自分抜きで浪士組がまとまるはずがないとの自信があり、高見の見物を決め込もうとしていた。また、組の編成に難癖をつけた芹沢鴨(佐藤浩市)が粕谷新五郎(伊吹吾郎)に力づくで諌められるなど、出立前の舞台裏では男たちが激しくせめぎ合っていた。そんな男たちの諍い(いさかい)など露知らず、勇の妻・つね(田畑智子)や歳三を慕うお琴(田丸麻紀)らは、旅立つ男たちの身を案じる…。
【牛嶋のズバリ感想文】
この1週間は多忙であまり時代劇が見られなかった。スカパーで放送された『徳川家康』さえも2話見ただけに留まったくらいだ。1日1話は見ようと思っていたが、全50話あるのだからしっかりついていかなければ・・・。30日から萬屋錦之介の『竜馬がゆく』も始まった。ちらっと見たが、『それからの武蔵』同様、萬屋錦之介は演じるのが少し遅すぎたという感じ。でも、落ち着いたら時代劇三昧でいこう!さて今週の感想文にいきましょう。

@この時点でおかしいと気づかなかったのか?
今週は文久3年(1863年)2月8日を描いた。先週から3日後で、浪士組が京都に向けて出発する日である。いよいよ来たという感じだが、出発は伝通院。出発前に浪士組を待っていたのは編成が書かれた貼り紙だった。試衛館の面々はほとんどが三番組だが、勇はなんと無役だった。涙ながらに勇を口説いた清河の意図はなんだったのか?近藤勇は単なる駒でしかなかったという事が分かった。その後永倉から、足元がおぼつかない一番組の小頭や、仇討ちが目的で浪士組に入った若者がいた事を知らされるが、勇以下試衛館の面々はこの時点で”おかしい”と気づかなかったのだろうか?場合によっては中止も出来たはずだ。

Aお見事!土方歳三
山南は勇に役をつけようと動くが失敗。そこで動いたのが土方歳三だった。俺がなんとかする・・・とは言っていたが、なんとその方法は、滝本捨助を呼んで50両を騙し取り、清河に裏金として渡す事だった。汚い方法だが、なかなかの知恵者で、早くも名参謀ぶりが伺えた。この辺りはさすが元商人と言った所か。こうして歳三は今後勇をどんどんサポートしていく事になる。山本耕史さんのふてぶてしい所も加わって土方歳三像が完成されつつあるが、”銭を粗末にする人間はろくな死に方をしませんよ”という言葉は効いた。その辺りは”俳句好き”の歳三ならではのセリフかっ。

B前半のヒール芹沢
試衛館が属する三番組の小頭は芹沢鴨だった。なんという因縁なのだろうか。これから様々なトラブルが発生するが、これからどんなヒールぶりを見せてくれるのだろう。でも勇に、元気か?食え!と面倒見の良さも出した芹沢。これからどんなヒールぶりが描かれるか楽しみだ。芹沢の浪士組加入の真の目的はいかに?

C純粋な勇だからこその新選組
”我々がお使えするのは上様”と、無役を何の不満にも思っていない様子の勇。あまりにも純粋すぎると思った。小頭の芹沢に挨拶した際も、”ご公儀のために頑張りましょう”と言ったが、みんなに笑われる始末。@に書いた”この時点で気づかなかったのか?”ではないが、本当に浪士組として役割を果たせると思っていたのだろうか疑問だ。でも考え方を変えると、純粋な気持ちで浪士組に加わったからこそ京都に残る事を決めたのではないだろうか?事実、試衛館にたくさんの人が集まり、主の勇を盛り立てようとした・・・。その人望が”近藤勇”を今でも語らせている要因かもしれない。

D図太い歳三
琴も歳三を求めてやってきたが、偶然、歳三が捨助を気絶させた所に出くわした。後は@*◇・・・。あんなバタバタした中で出来るのだろうか?声は聞こえないのか?などと、どうでもいい事を思いつつ、歳三の図太さを感じさせた出来事だった。ん?でも、”知れば迷い しなければ迷わぬ 恋の道”この句はいつ詠まれるのかな?それともカットされたのか?

E番号談義
京都への道は東海道!という清河に対して中仙道!という佐々木。そんな中、浪士取扱役の鵜殿鳩翁によって道は中仙道と決まった。それに対して別行動を取ると言う清河・・・。今週も清河と佐々木の対立ぶりが描かれているが、2月8日に江戸を出発して2月23日に京都に到着するとの事。ここで面白かったのは番号談義。芹沢が”どうして俺が三番組なんだ?”と異を唱え、”俺も・・・”と相次いで主張し出すが、佐々木は”一番組とは一番偉いものを言うわけではない。便宜上番号をつけた。よってこの論議は無用である”この言葉で全てが解決した。でも筆者も一番が一番格があるのかと思っていた。

F歳三と殿内
急遽、先番宿割という役が付いた勇。池田徳太郎から仕事内容の説明を受けるが、説明するのはこれで2度目だという。実は殿内義雄の役目が勇に変更になったのだ。筆者はこのような経緯があったのは知らないが、歳三と殿内のやりとりが面白かった。『ここは三番組ですよ(歳三)』『私は何番か知りませんか?(殿内)』『知りませんよ(歳三)』なんて事ないやりとりだが、一言一言が笑えた。歳三のふてぶてしさと殿内の実直さがうまくかみあっていたのでは?

G粕谷新五郎が楽しみだ
芹沢が一番組小頭・根岸友山にからむ。それに対して粕谷新五郎が芹沢を諌めた。根岸先生はキャリアのある方と先輩を立てた。なかなか紳士ではないか。弱い者ほどよく吠えると言うが、言葉も丁寧な粕谷はその逆。こういうカッコいい侍はまさに日本人好みだ。頼りになる兄貴分といった感じで、総司と平助が挨拶しに行ったのも分かる気がする。今後、粕谷を中心に周りがどうからんでいくか楽しみである。

Hもらい泣きしてしまった
総司の姉・みつが伝通院に見送りに来た。しかし、勇の妻・つねの姿はそこにはなかった。誘ったが来なかったとの事。しかし、つねはちゃんと来ていた。”勇さま、お気をつけて・・・”その言葉に勇が振り向き、軽く頷いた。小さく手を振るつね・・・。このシーンには思わず筆者ももらい泣きしてしまった。勇の行く末を知っている我々だからこそだろう。とにかくいいシーンだった。と同時に短い結婚生活だった2人を可哀想だと思った。みつが”本当はここで静かに暮らしたかったんじゃない?”と勇にかけた言葉が忘れられない。

I松本捨助・・・
本編終了後の解説(紀行)は松本捨助についてだった。”松本?えっ、滝本でしょ?”と思ったが、滝本捨助とは架空の人物で、そのモデルが松本捨助という実在の人物だったとの事。筆者はこの事を知らなかった。でも顔の雰囲気が中村師童さんにそっくりだったのにはびっくり。とても面白いエピソードだと思った。でも、松本捨助でも良かったのでは?と思ったが、それはなんらかの理由があるのだろう。

【来週の展望】
いよいよ京都に向けて出発した浪士組。来週は道中での有名な出来事が描かれるが、タイトルは『芹沢鴨、爆発』。芹沢の横暴ぶりがますますエスカレートするが、原因を作った勇とも一悶着ある。さぁて、そのシーンはどんな風に描かれるのだろう。注目だ!

第11回「母上行ってきます」 (3月21日放送)

【物語】
文久3年(1863年)2月5日、江戸。勇(香取慎吾)らが浪士組として京へ出立する日が迫っていた。つね(田畑智子)と連れ立って、養父・周斎(田中邦衛)の隠居所を訪ねる。快く送り出そうとする周斎だが、養母のふで(野際陽子)は相変わらず厳しい言葉を浴びせる。なぜ、そうまでして…と問うふでに対して、勇は、武士以上に武士らしく生きることが自分の願いだからだ、と答える。また、勇は、道場の支援者である小島鹿之助(小野武彦)から、上洛を思い留まるよう説得されるが、決意を変えようとしない。試衛館の食客の面々が挨拶や身辺整理に追われる一方で、みつ(沢口靖子)は、皆を案じる気持ちと自分が浪士組に参加できない悔しさから、何とか彼らが簡単に出立出来ないように触れ回るが、どうすることもできない。歳三(山本耕史)や源三郎(小林隆)らとともに多摩の縁者に挨拶回りに赴いた勇は、その足で実家に立ち寄る。そこで勇は、兄の宮川音五郎(阿南健治)から名刀・虎撤を贈られる。勇らはすぐに刀が本物ではないと見破るが、自分の旅立ちを精一杯の気持ちで送り出そうという兄の厚意に胸を熱くし、心が引き締まる。一方その頃、浪士組設立の首謀者・清河八郎(白井晃)は、生涯の友と誓った山岡鉄太郎(羽場裕一)に秘めていた本心を打ち明ける。清河は、勇たち浪士組を己の目的を成就させるのための先兵として使おうと目論んでいた。翌日、ふで(野際陽子)の呼び出しを受けた勇は、つねと二人で隠居所へ向かう…。
【牛嶋のズバリ感想文】
先週から、スカパー”時代劇専門チャンネル”で”徳川家康”が始まった。ご存知!1983年に放送されたNHK大河ドラマだが、筆者は当時日曜8時にテレビを見る環境になく、1話も見られなかった。21年の歳月を経て見られるとは思ってもみなかったが、これから全50話あるので1話も欠かす事なく見たいと思う。滝田家康、役所信長、武田秀吉と、役者が対照的なのも楽しみだ。既に4話まで放送されたが、感じたのは”本格的な時代劇”である事。NHKアナのナレーションで随所に解説しているし、とてもストイックに作ってある。一般大衆にウケようという”一切の遊び”も感じられないのが良い!とにかくこれから毎日が楽しみである。さて、今週の感想文いきましょう!

@勇とふでの確執はあった?
今週は文久3年(1863年)2月5日を描いた。先週が2月4日だったから2日続けて描かれたという事になる。3日後には京に向けて旅立つという事で、今回は試衛館の面々それぞれの動きが描かれた。中でもやはり一番の注目は、今回タイトルにもなっているように勇と養母・ふでの関係だ。こんな確執があったのか?と思ったが、新選組サイトによると、史実にも残されているとの事。勇自身が書いた手紙の中に、養母・ふでとの仲が悪く苦労しているという悩みを打ち明けた内容のものがあるらしい。理由は記されていないので分からないが、そこは三谷氏の創作らしい。でも、とてもうまく作られているのが凄い!さすが三谷氏と言っておこう!

A三谷氏へのメッセージ
そう言えば、連載している朝日新聞のコラムに三谷氏自らが”新選組!の批判を凄く気にする・・・”という旨が書かれていた。インターネットでもいろいろ見ているらしく、もしかしたらこのページにもたどりついているかもしれない。でも、もしそうだったら光栄な事である。でも、”三谷さん、毎週楽しんで見せてもらっています!これからも期待しています。頑張って下さい!”と大きな声でメッセージを送りたい。

B本性を表し始めた清河
浪士取扱役の松平上総介が仮病で倒れたのを受け、山岡鉄太郎は後任に清河八郎はどうか?と提案するが、清河はそれを拒否した。一方、清河を警戒する佐々木只三郎は、鵜殿鳩翁に浪士取扱役を依頼した。鵜殿は渋々受ける事になったが、清河と佐々木の確執が先週に引き続いて描かれた。のちに佐々木只三郎によって清河は命を落とすが、三谷氏の作る流れには全て前兆があるのが素晴らしい。一方、清河の顔つきが今週から変わってきた。いよいよ本性を表したという感じか?

C母の前ではっきり!
出発を前に試衛館の面々は各所に挨拶周り。その前に勇は母と顔を合わせたが、またまた嫌味を言われる事に。しかし、”武士になんでそんなにこだわるんですか?”という問いに、”私を育てて下さった父上、母上、自分自身に申し開きがたたないからです!”ときっぱり答えた勇。それがふでの心を大きく動かしたのだった。やったぞ勇!と叫んでしまったのは筆者だけではないだろう。この結末はいかに?

D面白い構図
そんな中、京都入りに対して、総司は姉・みつの反対にあっていた。もしもの事があったら沖田家がどうなるのか?というのが理由だが、その通り!総司は”兄上がいるではないですか?”と訴えるが、義兄の林太郎は何やら気持ちの悪い笑いを浮かべるばかり。気の強い妻とよく分からない夫・・・この2人がよく夫婦になったもんだと思ったが、全ては林太郎が婿だからかっ?

E感情移入は悪役の存在があってこそ
藤堂平助は総司を伴って伊東甲子太郎の所へ言った。平助は激励を受け、餞別まで貰う事になるが、この出来事がのちのち災いとなる事はこの時まだ知るよしもなかった。さらに”命を粗末にするな!”と優しく声をかけられるが、”お前の存在が平助を殺したんだ!と甲子太郎に突っ込みを入れてしまった方も多い事だろう。平助に恩を売った事で浪士組とつながりが出来たと満足げな甲子太郎だが、”人は使いようだよ”と憎らしい事まで言ってのけた。甲子太郎は清河とともに、現時点での悪役ランキング1位になったのは言うまでもない。いずれ新選組によって命を落とすが、”いずれお前は死ぬんだよ”と言いたくなってしまった。おっと、筆者は相当感情移入しているようだ。

F強引だが、桂の登場は効果あり
桂小五郎に勇の上洛を止めるよう頼むみつとつね。しかし、その願いは叶わなかった。こんな場面は絶対にありえないだろうが、桂がこうして登場したのは良かった。”場合によっては試衛館と敵対するかもしれない”と桂は言うが、その通りになる訳だし、今後を描く上でスポット的に登場させたのは、ありえない話とはいえお見事!

G撮影用の刀は真剣か?
兄の宮川音五郎から”名刀・虎徹”を受け取った勇。しかし、20両で買ったという話を聞いて、これは偽物だと見抜いた勇と歳三。それでも、”俺はこれを虎徹にする!”と言った勇は素晴らしかった。これぞ兄弟愛!気持ちが一番だと思った。それはそうと、ドラマで使われたあの刀は真剣ではないだろうか?あくまでも撮影用としてだが、筆者の目にはそのように映った。刀鍛冶なら見破れるのだろうが・・・。

H”栗塚”為次郎のシーンは前回時に一緒に撮影した?
勇は歳三とともに義兄の佐藤彦五郎に挨拶。永倉はアルバイト先と友人に別れを。そんな所に滝本捨助が登場。なんと甲冑姿の登場に思わず声をあげて笑ってしまった。このキャラは面白い!また中村師童は上手い!そして歳三の許婚である琴には勇が会いに行く事に。そして歳三の兄・土方為次郎にも挨拶。以前歳三だった”栗塚”為次郎の嬉しそうな顔はとても印象的だった。でも、このシーンは為次郎の初回登場時に撮影したのかな?う〜ん、もっと栗塚旭さんの演技が見たいっ!

I不思議な縁
山南が浪士組の編成が書かれたものを目にする。なんと!近藤の名前がなく、ふさわしい役職をつけて欲しいと山岡に頼む。山岡はそれに応えようとするが、それに気づいた清河は山南にお引取り頂きたいと告げた。以上の事から、清河にとっては近藤勇以下試衛館の面々は単なる駒だった事がハッキリした。そしてついに清河の本当の考えが明らかにされた・・・。大悪人だぞ清河!でもこれが新選組結成へと導くのである。しかし、新選組が結成されなかったら近藤勇の存在もクローズアップされる事もなかったのである。人間の縁とは不思議なものだ。でも、清河にまんまと騙された格好となったのは悔しい限りだ。

J畷左門だ!
のちの京都残留メンバーである粕谷新五郎は伊吹吾郎さんが演じている。その迫力ある演技にドラマがびしっと締まるが、あの風貌に”必殺仕事人”の畷左門を思い出した。数々の時代劇に登場した伊吹さんだが、あれは”水戸黄門”の格さんの目ではなかった。いや、時代劇の通ならもっと違うキャラを例に出すのかな?

K感動のシーン
ふでの生まれは下総、百姓の出、貧乏暮らし。12の時に売られ、15の時に芸者。その後、身分の高い武士に見受けられて望みが叶った。しかし夫が百姓の出であった事を知った。子供は出来ず、養子をもらう。由緒ある家の息子が欲しかったが、養子は百姓・・・。次々と展開される話に勇は驚きを隠せない様子だった。百姓の出である事は以前物語の中にも出てきたが、さすがに本人の口からだとリアリティがある。成り上がり者という見方もあるが、筆者はふでの気持ちが痛いくらい分かった。自らをさらけ出す事でようやく勇と分かり合えたふで。”私はあなたです”全てはこの言葉に集約されていたような気がする。”近藤家のために武士よりも武士らしく戻ってくるのです。存分に見返してやりなさい”と言葉を贈られた勇。これでようやく本当の親子になれたのではないだろうか。その後、畑仕事をしている中、”畑に入らないと近藤家の嫁とは呼べませんよ”とつねに対して厳しい言葉を言いながらも笑顔を迎えるふで。まさに感動のシーンではないか!勇はこれですっきりとした気持ちで京都に行ける事になった。

【来週の展望】
いよいよ浪士組として京都に出発する勇。まさに運命の分かれ道だが、新選組などという組織が出来るなどこの時、想像もしていなかった事だろう。そして芹沢とも久々に対面。ここからさらに大きくドラマは展開される。まさに第一章の終了。そして第二章がスタートだ!

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