にほんご講座

アナウンサーをしていると、いろんな場所で
『これって、変な日本語じゃないか?』と、出くわす事が多い。

ここでは、そんな『おかしい日本語』を取り上げ、
自分自身の言葉に対する想いと、正しい言葉の使い方を解説します。

1998年9月14日 更新



 <その7 役不足です>

『役不足』自体は間違った日本語ではない。しかし、仮にあなたが今いる会社で”主任から課長”に昇進したとしよう。その時に昇進挨拶を上役にしたとする。
『え〜、役不足で自信がなんいんですが、頑張ります。』
これは完全に使い方を間違えている。これじゃ、『俺の実力じゃ課長なんて役不足だよ』と不満を表明したと事になる。この場合は『力不足で』と使うべきである。こういう混同は意外に多い。注意しましょう。

<その6 〜?>

先日、テレビ朝日の『サンデージャングル』を見た。私の好きな鳥越俊太郎さん、麻木久仁子さんが出演しているのだが、最近の高校生の口調がおかしい!という事で特集をしていた。その中でも指摘していたが最近は会話の中に『〜?』という疑問のアクセントを用いる機会が多いという。相手に質問している訳ではないのに、『〜?』と、疑問口調になってしまうのだ。私も普段から感じていた事でもあるが、簡単に例を挙げるとこうだ。(A)『お前、昨日何やってたんだよ?』(B)『私〜?昨日〜?カラオケ?』実際にここで音に出来ないのが残念だが、解説すると(A)の『昨日何やってた?』という質問に対し(→これは普通の言いまわし)ところが(B)は、@『私〜?』と、語尾が下がる音を使う。次にA『昨日〜?』ここのアクセントは『の』の音で一旦上がり、『う(お)』の音でやや斜めに上がる感じ。次に、B『カラオケ?』という最終的な答えになるのだが、これも疑問調だ。ここのアクセントは、『昨日〜ぉ?』の『ぉ?』と同じ高さの音から始まりやや上がる感じのアクセント。たぶん、私 が会話をしていたら『俺が質問してるんだから、俺に聞くような言い方をするな!』『カラオケやってた・・・で済むじゃないか』と、言ってしまうだろう。とにかく最近は相手に同意を求めるかのような言いまわしがやたらと多い。こういう使い方をするのは一種のクセになっているのだろうが、私が思うには、@で、まず質問された自分が自分に対して改めて質問する体制を取る。ここで、自分の中にいるもう1人の自分の存在を確認する。次にAの『昨日〜?』で先ほど@の『私〜?』の質問で見つけた自分に対してもう一度問い掛けるかのような第2の質問を浴びせる。次にBの『カラオケ?』という答えを見つけたかのような言いまわしをしながら、なおもまだ、この後に質問が続くんじゃないかというか?と不安げに『カラオケ?』と、最後に私は本当にカラオケをやってたの?と、相手に同意を求めるかのような言いまわしをする。要は、思考回路の働きが悪い事。自分をしっかり確立していない事、それに、自分に自信がない事が原因なのではないだろうか?とにかくビシッと言おう!(A)『お前、昨日何やってたんだよ?』(B)『カラオケだよ』って 言えば簡単に済む事なんだから・・・

<その5 イヴの夜>  

この季節(8月)にイヴもないだろう・・・と思われるかもしれないが『イヴの夜』こそおかしい日本語だ。解る人は解ると思うが、じゃあ『イヴ』で辞書をひいてみよう。またまた三省堂の大辞林によると『祭りの前夜。特にクリスマスの前夜。前夜祭』とある。つまり『イヴの夜』を詳しく訳すと『祭りの前夜の夜』あるいは『クリスマスの前夜の夜』となる訳だ。これだったらクリスマスの2日前の夜?あるいはクリスマスの前夜の夜ということになる。前夜の夜だったら意味は通じるかもしれないが、『新しく新発売』と言うように言葉が重なっているからこれは『イヴ』だけで通じるはずだ。次に『前夜』を調べる。『前日の晩。昨夜。特別の日の前の夜。』とあるように、まさしく前の日の夜とある。よくイベントがあってその前日に『前夜祭』が行われるが、じゃあ『前夜祭』を今度は辞書をひいてみよう。『特別の行事の前夜にその行事を祝って行う催し』とある。よって、前の日の昼に『前夜祭』と銘打ってイベントを行う場合は『前昼祭』と言わなければならない。しかし、そんな事でクレームを付けていたら仲間外れにされて しまうので、そこは大人になろう。でも、『イヴの夜』とは、使わないようにしましょうね。

<その4 ハマる>

『最近、カラオケにハマっちゃってさあ・・・』こんな会話をよく耳にする。これは『最近、カラオケに夢中になっている』という意味であるが、果たしてこの『ハマる』という意味は正しい日本語なのだろうか?私自身の考えだと、『ハマる』とは『ドブにハマる』など『予想もしなかった状況に陥る』という悪い意味にとらえていたのだが・・・この例をはじめとして最近は困ったような言い回しをしておきながら、ようやく自分で夢中になれるものが見つかったかのような・・・ハマっている自分を良い状況にとらえている傾向にある。この使い方で本当に間違ってないのか?そう思いながら、自分でも良く分からないので辞書をひくことにした。三省堂の大辞林によると『ぴったり合ってはいる。穴、枠、溝などの内側に物が入る。物の外側に収まる。川、池などに落ち込む。』と、ズラズラと書いてあるが、おっ、見つけた見つけた!『比喩的に悪い状態に落ち込む事にもいう(例:深みにはまる)』やっぱりそうか・・・悪い意味にしか使わないんだ。しかし、『悪い状態〜にも』の『にも』が気になる。それ以外にも『計略にかけられる。条件にぴったり合う。(型にはまるの意で)行動、表現な どが類型的である。』などがあったが、もう1度冷静に意味を考えると必ずしも悪い意味だけに使う訳じゃないことを感じた。要はこういう事だろう・・・最初の例でいうと『カラオケという思いもしなかったモノに目覚め、型にハマってしまった』そう考えれば間違った日本語ではないという事に気がつく。自分が間違っていたのか・・・でも、このままじゃキモチ悪いのでしっかり裏を取ろう!みなさんのご意見も是非聞かせて下さい。

<その3 間髪入れず・・・>

『間髪(かんぱつ)入れず』誰もが耳にしたことがある言葉だと思うが、実はこれも間違った日本語だ。正解は、『間(かん)、髪(はつ)を入れず・・・髪の毛1本も入れる余地がない事から転じて『すぐさま』という意味になった。『かんぱついれず』と続けず『かん、はつをいれず』と間を切って使うのが正解である。よく、テレビのプロレス中継のアナウンサーが『かんぱつ入れて飛び込んできた・・・』という言いまわしをしたりするが、チェックしよう。

<その2 すいません>

お店に入って、ほとんどの人が『すいません!』と言って店員に向かって呼びかける。これっておかしいと思いません?実はこれも単純明解!『すいません』という日本語はなく、『すみません』と言うべき言葉と取り違えているのである。しかし、今言ってみましょう『すみません』と・・・言ってみましたか?感じたと思いますが、『すみません』の『すみ』は発音のしにくい音なのです。だから、人はつい『すいません』と言ってしまう傾向があるかもしれません。逆に言えば『すみません』と言い難いから『すいません』になってしまったのかもしれない。しかし、常日頃、『すみません』という事に気を配ろう。

<その1 とんでもございません>

テレビのドラマなどで、(Aさん)『もしよかったら飛行機のチケット取っておきますよ』(Bさん)『いやあ、とんでもございません。こっちでやりますから・・・』なんて会話をよく耳にする。この場合をはじめとした『とんでもございません』という言葉は、まさしく間違った日本語なのである。要は簡単。『とんでもございません』という言葉はないのである。え?なぜ?と思う人がいるだろうが、たぶん、『とんでもないです』という言葉と間違えて使っている人が大半なのだろう。この『とんでもない』は正しい日本語なのだが、これはあくまでも『とんでもない』でひとつの言葉であって、要は『とんでも』と『ない』は分かれないという事なのだ。だからこの場合は、『とんでもございません』ではなく『とんでもないです』というのが正解で、どうしても『ございません』と使いたいのなら『とんでもないことでございます』と、使うべきものなのである。

みなさんも疑問に思った言葉ありませんか?
その他、ご意見もお待ちしております。


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